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第2話
…ほんとは、足りなかった。だから、妻になった。フィアの隣に立つ人間がいるなんて嫌だった。でも、きっといつか愛人作られて終わりなんだろうな、っていうのもわかってた。
ううん、意外に真面目な人だったから、愛人は作らずに妻である俺だけを大事にしてくれる、って今なら言えるけど。
でも、さぁ…フィアは真面目だから。俺、今まで手出されたことないんだ。俺が望んだ以上のことはしない、結婚してからその線引きだけはやけにきっちりしてた。いつまで経ってもそれは変わらない。政略結婚、って予想以上にキツくて。
俺がフィアに求められるもの、フィアに要求できること、そして絶対に断られないこと、って、一つしか思いつかなくて。
フィアに構ってほしくて、遊びに行った。それで色んな人に惚れて失恋したって言っては泣いたふりしてフィアに構ってもらってた。
フィアにそういう意味で相手にされなくて、辛かったから、いくらでも涙は出たんだ。
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