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3-1.新婚旅行、どこへ行く?

匠実が生後八ヶ月になったある夜―― 息子を寝かしつけた後、僕はベッドの上でスマホを操作する宗吾の手元を覗き込んだ。 彼の提案により、新婚旅行の行き先を探すことになったのだ。 検索画面をスクロールしながら宗吾が言う。 「匠実が1歳になる前となると、行ける場所は限られるよなぁ」 「そうだよね……子連れ、旅行、ゼロ歳、とかで検索してみる?」 「わかった」 宗吾が画面をタップして検索する。 「海外だとハワイ、グアム……国内だと沖縄とか?が多いかなぁ」 「海外も行けるの?」 旅行記やブログ等を見てみると、かえって1歳を超えて歩けるようになる前に飛行機に乗ったほうが楽という意見が目立っていた。 「なるほど……」 「そっかぁ、まだつかまり立ちくらいの時に行く方が良いんだね。ちょうどいいかも!」 「志信、海外旅行の経験は?」 「まさか!行ったこと無い無い」 僕は首を振った。 これまでずっとギリギリの生活をして切り詰めに切り詰めてきたから、旅行なんて……しかも、海外だなんてとんでもない。 「だよな。じゃあ思い切って海外行ってみようよ。こんな機会でもなければ俺もなかなか長期の休みは取りにくいし」 「休み、取れるの?」 「新婚旅行だぞ?ダメだなんて誰にも言われないだろう」 それもそうだよね。いつも忙しくしてるんだからたまにはお休みして旅行に行かせてもらったって罰は当たらないよね! 「父さんにも聞いてみるよ。お前が行きたいって言ってると伝えればきっと二つ返事でオーケーするさ」 宗吾の予想した通り、後日お義父さんに電話でお伺いを立てたところ是非行ってきなさいと言ってくれた。 『旅行してみないとわからないこともある。お互いにいい経験になるだろうからゆっくり楽しんでおいで』 そんな言葉をかけてくれ、さらにお餞別まで頂いてしまった。 「父さん、張り切りすぎてこれじゃあ旅費丸々浮いたようなもんだな……」 「うん……いっぱいお土産買ってこよう」 実際のところ、ツアー代金だけでなく旅行用品代やお土産、現地での食事代など含めると大体ツアー代金の2倍はかかるものらしい。僕は自費で旅行をしたことがないためその感覚がよくわからなかった。 行き先は迷ったけどグアムに決定した。 ハワイも良さそうだけどグアムの方がフライト時間が短くて、時差も1時間しかなく旅慣れない僕と乳幼児が行くには良いだろうというのが宗吾の意見だ。勿論僕に異論はない。 ただただ、初めて行く海外への期待に胸を膨らませていた。

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