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2章-7.胎動と血糖値検査とマタニティヨガ

自分の実家への報告をどうするか迷って結局決められないうちに妊娠7ヶ月に入った。 健診は4週間おきからまた2週間おきになった。 この頃に妊娠中期検査というのがあって、血液検査やブドウ糖負荷テストが行われた。 ブドウ糖負荷テストというのは血糖値の検査で、妊娠糖尿病の疑いがないかを調べるものだ。元々少食な方であまり血糖値に気を遣ったことはなかった。体重の増加も問題なかったし油断していたら、再検査になってしまって焦った。 その後色々と調べると、太っているか痩せているかに関わらず引っかかる人は引っかかるらしい。 「どうしよう…再検査も数値が異常だったら入院になっちゃうかもだって」 「それは大変ですね。糖質制限すればいいんでしょうかね」 一応その日から糖質を控えめにするように心がけた。 再検査の日、またブドウ糖の負荷テストが行われた。 朝クリニックに着いてすぐに採血をし、直後に瓶入りのブドウ糖の炭酸飲料みたいなものを一気飲みする。 これがまずすごく甘いし結構苦しい。 そしてその30分後、60分後、120分後と合計4回採血を行う。 前日の夜から飲食禁止で、空きっ腹に甘いドリンクを一気飲みしてから2時間クリニックで待ちながら何度も血液を抜かれてちょっと具合が悪くなってしまった。 それぞれの数値で1つでも基準値を超えるものがあれば妊娠糖尿病と診断されてしまうためすごくドキドキした。 最後の採血から30分後くらいに先生に呼ばれて結果を聞いたらなんとか全てクリアしていた。 帰宅した礼央と食卓を囲みながら検査の話をした。 礼央がグラスを持ち上げて言う。 「よかったですね!なんとかクリアおめでとう~」 「もう、ヒヤヒヤしたよ。しかもお腹はぺこぺこだし」 「美耶さん細いのに妊娠糖尿病ってそういう体型の人でもなるかもしれないんですねえ」 「自分が糖尿病の心配する日が来るとはね。妊娠って不思議だな。あ!今蹴られた」 少し前から胎動を感じるようになって、最近は結構お腹の中をぽこぽこ蹴られる感触を頻繁に感じる。 動いてるのがわかると、ああ、お腹の中で赤ちゃん生きてるんだなぁって思う。 「え!どこどこ?」 「ここらへん。触って」 しばらく横っ腹に手を当てて待ってもらったが動かなかった。 「また僕が触るとおとなしくなる~」 「恥ずかしいのかな」 俺はしょんぼりする礼央がおかしくて笑った。 動いたから触ってみてってやってるうちにピタッと動かなくなっちゃうんだよね。 「おーい。フクちゃん、蹴っていいんだよ~」 「おいおい、結構痛いんだよ?」 男の子だからかまあまあなキック力なのだ。 お腹も大きさを増し、最近は肩こりと腰痛、足のむくみやこむら返りに悩んでいた。 それを先生に相談したら、マタニティヨガを薦められた。 クリニックで月に2回、分娩予約している妊婦向けに開かれているのだ。 早速予約して行ってみた。 楽な格好で、と案内に書いてあったのでレギンスにTシャツという格好で参加した。 全部で15名くらいだと書いてあったが、男性Ωが他に2名いて安心した。 1人はもう臨月でお腹の大きさも俺よりずっと大きくて大変そうだった。 終わった後少し話せて、同じ男Ω同士情報交換できたのが良かったからまた参加しようと思った。 「でね、その臨月の男の人はもうお子さん3人目なんだって!礼央ほどじゃないけどスラッとした背の高いイケメンだったよ」 「へ~、Ω男性の妊夫さんと話せてよかったですね。でもそんなキラキラした目で他の男性のことイケメンって褒めてるの聞いたらちょっと妬けるな」 「え?Ωだよその人?」 「バース性がどうであれ、同じ男ですから。気になるんです」 「案外嫉妬深い男だねぇ礼央は」 俺はニヤニヤしながら礼央を見上げた。 「そうですよ~。あんまり可愛い顔して見つめてきたらチューしますよ」 「え、別にいいけど~?」 ふざけあっていたらまたフクちゃんがお腹を蹴った。 「あ、蹴った蹴った。俺達が仲良くしてるからフクちゃんも仲に入りたいよーって言ってるみたい」 「フクちゃん、もう少しお腹の中で大きくなってから出てくるんだよ~」 礼央がお腹をなでた。 「あ!今動いたのわかりました。やった~!珍しく触れた!」 「パパに早く会いたいんじゃない?良かったね」 ぐにゅ~っと中で動く感じがなんというか独特でちょっと慣れないんだけど、今だけの貴重な体験だ。 肌に湿疹ができたり夜寝られなくて寝不足になったり、何かと体調にトラブルはあるもののフクちゃんが順調にここまで大きくなってくれて嬉しい。 ヨガのお陰で肩こりは改善した気がするので、先生が教えてくれたポーズを毎日やってみよう。

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