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第3話
揶揄う。
あの出来事から、数日。
「桜木、ちょいノート貸して?」
意識して、こいつを覗き込む。
「…は、はぃっ……」
一生懸命目を伏せて長い前髪で隠して、でもノートを差し出す手は少し震えていて。
俺は、少しこいつに意地悪を言う。
「顔上げて、俺の目ぇ見てみ?」
「っぅ……」
恐る恐る見上げた、そいつの目元は赤くて。
見つめ合ってたら、だんだんうるうるしてきて。
「も、もッ、む、むり、ですっ…
睦月くん、に…、み、見られてる、なんて…っ…」
参らせてるのは、俺なのに。
その俺に、助けてくれと願うような目を向ける。
それに気づいて、
ゾクゾクした。
あぁ。心地イイ。満足だよ、桜木 信。
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