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第10話
腕の中の生き物が、暴れている。
あんまりにも逃げようとするから、腕に力をこめて、囲い続けた。
「逃げんな。」
ねみぃ。
安眠妨害。
「む、つき、く……ぅぅ、お、おきて…」
ひかえめな声が心地よい。
また、眠れそ。
にもかかわらず、肩を叩かれ、揺さぶられる。
「お、おきて…おねがぃ…はなして…!」
「ぁ?ンだよ、ねみぃ」
「お、……おてあらい、行きたいから……!」
「ぁ?逃げようとしてたわけじゃなく?」
「ち、違うよ…!」
「ん。」
仕方ないから、囲っていた腕を外してやる。
「ぁ…りがと。」
目は瞑ったまま、言っておく。
「もどってこいよ」
「うん…!」
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