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第5話
「ふーん。そういえばお前の実家ってどこだっけ?」
「青森」
「やっぱリンゴばっかり?」
「どっちかっていうとニンニクばっかりかな」
「しっかし北の国から南の島に移住か!」
「同じ日本なのに全然気候違うよね」
「こっちの冬はどんな感じかなー」
捌き終わった日和が手を洗い俺を椅子から追いやり自分で座る。
「まさるくんのアジフライ楽しみだな〜」
なんで実家から遠く離れたこんな島で興味のないことを勉強しにわざわざ越してきたのか。なんとなく言いたくないんだろうことはわかる。
アジに衣をつけ揚げていくがどうにも1人用の揚げ物鍋なので時間がかかってめんどくさい。
「味噌汁いるか?」
「いるー!!」
元気な返事に1人だったらめんどくさくてなかなか作らないが仕方ない。と思い冷蔵庫に余っていた玉ねぎとじゃがいもで味噌汁を作ってやる。
「ほれ、飯よそえ」
はーい!とこれまた元気に返事をして飯をよそったり箸を準備しながらふと思い出したように聞いてきたのは
「まさるくんってご飯のこと"よそう"って言うよね」
とまぁ、どうでもいい話。日和といるとどうでもいい話が永遠とつきなくて何にでも興味を示して雑学をたくさん持っているこいつとの話は出会ってからしばらく経つが飽きない。
「じゃあお前はなんて言うの?」
「俺のとこは"盛る"って言ってたなー」
「へー、地域によって結構違うもんなんだな」
「ほかにはなんか言い方あるのかな」
「そういえば勝己じぃちゃんもたえばぁちゃんも"入れる"って言ってた気がするな。」
「じゃあこの辺はそうなのかもね」
勝己じぃちゃんもたえばぁちゃんも別に親戚というわけではない。ただ近くに住んでいる元気な老人だ。
この辺は少子高齢化が進んでいて周りはじぃさんばぁさんばっかりだ。
まぁそのおかげか少々騒いだくらいじゃ「若いもんは元気でいいねぇ」なんて言われるだけで注意されたりなんか滅多にしない。
コンコン。
「ごめんくださーい」
玄関から来客の声がした。
噂をすればなんとやら。たえばぁちゃんの声だった。
「日和、今手離せねぇから代わりに出てくれるか?」
「おっけー!」
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