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第6話
「ばぁちゃん。なんだって?」
「肉じゃが作りすぎたからって」
手にはタッパーに詰まった野菜ゴロゴロの食べ応えのありそうな肉じゃが。
「日和ちゃんここにいたのねーって言って2個もらっちゃった」
「それは流石に一回じゃ食いきれないな」
せっかくなのでまだ暖かい肉じゃがをタッパーのままダイニングに出し千切りされたキャベツの上に盛りつけたアジフライも並べる。
「思いがけず立派な夕飯になっちまったな」
狭いダイニングはあっという間に皿で埋め尽くされた。
「いただきます。」
きちんと手を合わせてから箸をとるところとかその箸の持ち方だったり食べ方だったりできっと厳しく躾けられたんだろうことがわかる。
「そういえば俺まさるくんがなんで島に来たのか聞いたことないかも」
「そうだっけか?」
「…うん。」
ちゃんと口の中の物を飲み込んでから喋るところとかもそうだな。
「うーん、なんて言うか田舎暮らしに憧れて?」
「元々こっち住んでたわけでもないんでしょ?」
「そうだな」
俺が住んでたのは神奈川の海沿いでここと変わらず年中潮風を感じるような場所だった。
「なんつーか、急に田舎に住んでみたくなったんだよ」
「ふーん」
聞いてきたくせに薄い反応。
「興味ないなら聞くなよ」
最後の一個だった大皿に盛り付けられたアジを取りながら言えば「あー!俺が食べたかった!」って人の家で食わせてもらってるくせに図々しいな。
仕方ないので半分にして分けてやると嬉しそうな顔で食べる。
「だって…。」
「ん?」
「まさるくん俺にあんまり深く話したくないんでしょ?」
ほんとに空気が読めると言うか…人の感情に敏いというか…。
「いつかちゃんと話すと思うけど。」
「うん。まさるくんが話したくなったら言ってよ」
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