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第7話
「ほんとに泊まっていかないのか?」
「もう!ほんとまさるくんって心配性だよね!」
午後8時。独り身の家の狭い玄関で毎度行われる押し問答。
飯食って一緒に片付けてそのままソファに2人並んでテレビを見てダラダラしていたらすっかり外も暗くなっていた。
「じゃあ送ってくから」
「すぐそこじゃん!」
「いいから。飯の後の腹ごなしだと思って」
「それなら…。」
ようやく説得に成功した日和を気が変わらないうちに。と玄関から押し出し一緒に外に出る。
すぐそこだから。と家の鍵はかけない。俺もすっかり田舎に染まったなー。なんて思いながら大通りから一本それた道を歩く。
「まさるくんだって心配するくせに不用心じゃん」
「お前な〜警察の家に誰が泥棒に入んだよ」
田舎の情報網舐めんな。
「それ言ったら俺だって男だしもう子供じゃないんだから1人で帰れます!」
「いいや、最近は男だろうが襲われたりするし俺からしてみればお前はまだまだガキンチョだ。」
ぷくぅ。と頬を膨らませてまたお得意の怒ってますアピール。
「フハッ、お前ほんっとかわいいな」
「よしおじさんがアイス奢っちゃる」
「まさるくんまだおじさんって歳じゃないでしょ」
「三十路なんて大学生からしたらおっさんだろ」
「そんなことないもん!まさるくんは三十路だろうが四十路だろうがかっこいいお兄さんだもん!」
「お前趣味悪いなぁ。俺みたいなおっさんじゃなくて同い年の子口説けよ」
「俺は年上キラーなの!」
「はいはい。いいから、ほれどれにするんだ?」
日和の家にまっすぐ帰らず途中で島に一個しかないコンビニに寄ってアイスを選ぶ。
「そうやって子供扱いしないでよ」
「じゃあいらないんだな?」
「うそ!いる!いります!」
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