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第8話

 「俺巡回行ってくるわ」 「はーい!いってらっしゃいっす!」  この交番は小さいが島全体の治安を守る唯一の交番の為何かがあっても対処できるよう本土の交番よりも人数多めに5人がローテーションで勤務している。  今日は2個下の後輩伊藤との遅番だ。 巡回も数時間ごとに2人で交代で行う。 巡回というと堅苦しい感じがするが普通に制服のままスーパーだろうがコンビニだろうが立ち寄って買い物をする。職務怠慢じゃないかと言われれば、まぁ、少しはそうなのかもしれないが警官がちょくちょく立ち寄ることでその店の店員にも何かあるとすぐに頼ってもらえたり不良少年の溜まり場になったりしなくていい効果しかないらしい。  なので俺は遠慮せずに「巡回」という名の散歩をする。  この島は自転車で一周3時間。というなんとも小さな島で海は綺麗だがそれだけ。 あるのは大学と漁港くらいで観光目的に来る人間はほとんどいない。そもそもホテルなんてものはないしな。それに加えてこの島の数キロ西にはここよりも大きくて観光資源で栄えた島がある。わざわざ何もない島には誰も来ないだろう。  「今日も何事もなく島は平和っと」 何事もなさすぎて暇なので今日は足を伸ばして大学の方まで行ってみるか。 「そういえば日和は大学でどんな感じなんだ」 友達の話って聞いたことないな。 今日は教授の手伝いで遅くなりそう。って昨日言ってたな。 時刻は19時を少し回ったところ。構内にはチラホラ明かりが灯っていて人がいることを知らせている。  ちょうど1番大きい建物の中から日和ともう1人、随分背の高い明るい短髪の子も一緒に出てきた。 どうやら友達みたいだけど。 なんだか友達の方が一方的に喋ってるようにしか見えないな…。  すると日和が門の外にいる俺を見つけて小走りでこちらに向かってきた。 おいおい、お友達びっくりして置いてかれてるよ。  「まさるくん!今日はこっちまできてたの!?」 「おう。平和すぎて暇だからな。」 「いいことじゃん!」 「まぁな。最近俺は気づいたんだがこの島の警察は警察というより何でも屋になりつつある。」 「たしかに」 そう言って笑う顔はさっきまで友達と並んで歩いてた時よりも柔らかくて可愛い。 そう言う顔の方が似合うって。  と、そこに日和の友達がよくやく走ってやってきた。 「こ、こんちわっす!」 「おう、こんにちは。」 その子は俺と日和を交互に見て 「お二人はどう言う関係ですか?」 って、ちょっと俺のこと警戒してる? 「日和はなんつーか、こいつが越してきたばっかの時に知り合ってそっから面倒見てやってる」 「俺面倒見てもらった記憶ないですけど!!」 「いやいや、昨日だって俺が飯作ってやったしアイスも買ってやっただろ。面倒見て、可愛がってる。だろ?」 またいつものぷくぅとほっぺを膨らませるやつをやっている日和をみてお友達はびっくりしてる。 「上原ってそんな顔もするんだな」

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