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No.21 無題

嵐が接近しているとしきりに警報が鳴る夜のこと。兄の恋人が訪ねてきた。予報を見ずとも傘が必要な事はわかるはずなのに、男は傘を持っていない。 「わざとだよ、わかるでしょう?」 タオルを差し出した手に、首筋に、濡れた眼差しが絡みついてくる。 嵐が接近している。 頭の中に警報が鳴り響いた。

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