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No.22 霧雨

雨の日にだけ見かけるあの人。 きっちりした和装に凛々しい横顔。全く隙の無い様子は、本当に同じ人間かと疑う程、僕に距離を感じさせた。 天気予報を気にする毎日。季節も移ろい、雨に遇ったふりで軒先に飛び込む。 あの人はまた、どこかに視線を向けていた。 僕はずっと、あなただけを見ているのに。

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