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1ヶ月経ちました。

「ただいま〜、おっと。」 「ぉかえり。」 もうなんか、帰った瞬間抱きつかれるのも慣れた。匂い嗅がれるのも慣れた。抱きつかれながら歩くのも慣れた。……うん、俺よ、よくここまで悟れるようになったな……泣 義兄に引きずられるようにしてリビングのソファに座る。こっからが本格的な拷問タイムだ。義兄に俺の体が弄ばれるのである。 はぁ、と嘆息をこぼしつつ、気を紛らわせるために会話をする。まぁ一応、義兄と交流するためでもあるけど。 口数少ないし。 「光貴、今日の夕飯何がいい?」 「ん……?はんばーぐ。」 これまた子供なメニューを……。うちの義兄は子供っぽい。まぁ、お察しか。 「了解。光貴、和食好きだったよね、今日は和風ハンバーグにしよっか。」 「ぅん……嘉風、好き……」 ぐはっ、落ち着け俺、悟りを開け、賢者だ賢者。あーもうすりすりしないでさらにギュッてやめて?!俺のツボを的確に潰していくのやめよ?! 俺結構溺愛系だから調子乗るから!!今だって引き離すどころか甘やかしちゃってるから俺!! マジ心臓持たない萌えが洪水起こしてる。てか義兄が俺の好みドストライクなのが一番悪い!! 義母さんめっちゃ甘めな顔なのに!! なんでこんな涼しげな息子さんがっ!前の夫の血ですよねわかってますわかってますけども!!! ああああ現実逃避しないとやってられない!気を紛らわせるための会話はたまに義兄がトラップを仕掛けてるからそれ踏み抜いた時がほんと辛い!! てかちょっ、義兄?!?! 「ちょっ、何舐めて…っ」 なんか首筋舐められてるんですけーど?!?!思わず凝視した。 義兄の手が、首元のシャツを避けたくていつもより思いっきり握りしめてる感覚とか、舐めてる舌が目に毒とか、時々漏らすん、、て声がいやに色っぽいとか、…ッ!!! おおおおおおおおちつけぇぇぇぇぇぇ これ以上何も考えるな目をとざせストップだおまわりさんおれです!!! 理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性理性 ってちげぇ硬直してる場合じゃないわ! 「ちょっ、ちょちょちょちょちょちょっとぉぉ?!光貴?何してるの?!」 もう動揺しすぎて悲鳴っぽい声が漏れたけど、なんとかべりっと引き剥がした。 あ、っぶねぇ。マジでヤバかった。 「よし、か…」 引き剥がされた義兄は、それでも俺の体温が欲しいのか手を伸ばしてくる。 くしゃっと顔を歪めて、寂しそうな、泣き出しそうな、縋るような表情を乗せてこっちを見てる。そんな目で見んなよ……こっちもいっぱいいっぱいなんだって、、、 「よし、か…」 「光貴。抱きつくのもいい、手を繋ぐのもいい、なんなら俺を観察するのも全然いい。けど、舐めるのはダメだ。」 少しキツイ口調だけど、線引きだけはしっかりしないと。俺が倒れる。いろんな意味で。 「ど、して…?」 「俺がやだから。」 その瞬間、義兄は泣いた。っ、、くっそ可愛いんですけど。 「……っ、よしか、おれ、も……、嫌い……?」 「いや、嫌いじゃないよ、まだ。」 「わ、かった。舐めるの、やめる。 はな、して。だきつ、きたい。におい、……っ」 はぁ。俺も大概甘いんだよなー。さらっと許すあたりが特に。ほら、今だって。あーもーはいはい、って義兄を抱き寄せてるんだからさ。 「あ、そうだ。確認したいんだけど。」 「ん……?」 「光貴、他にもこーやって抱きついたりする人いるの?」 「い、ない……」 「良かった。知らない人にホイホイやらないでね?」 「ぅん……」 よかった、他の人のやってたら襲われコース一直線だからね。義兄が危ない目に遭うことは本意じゃないし。 それから、義兄は今日ちょっと落ち込んだのか、早々に寝てしまった。 プルルルル、プルルルル。 あ、義母さんからだ。 「もしもし?」 『久しぶり〜!1ヶ月経ったから、近況を聞こうかなって思って電話しちゃった♪どう?あの子とは。』 「あ、ぁ〜っ、と。」 1ヶ月前、しません!って言ったばかりなんだけどなぁ……。まぁ、こーゆーのは拗れる前に言っといたほうが良いんだよね。 「すみません、その、既に理性が持ちそうにないです……今日なんて首舐められましたし……」 『まぁ……求められてるわねぇ。襲っていいのよ?私達は応援してるもの。』 「いえ、そんな、大事な息子さんでしょう?それに、義理と言っても兄ですし、さすがに……」 『んー、でもあの子襲われたがってると思うわよ?』 「は、はい?!」 『そうねぇ……これでもね?私、安心しているの。あの子、昔から興味の薄い子で。私とも、実の父とも全然喋らないし表情も変えないし、おもちゃをあげてみても興味を持たないし。一度病院に連れて行ったこともあるけど、病気ではないって言われたの。個性の一種。』 『学校に入って、勉強もスポーツも人並み以上にはこなしているけど、やっぱり友達は出来ないから不安で。 基本的に部屋からは出てこないし、たまに覗くとね、勉強してるか、どこかに体育座りしてぼーっとしているの。正直、我が息子ながら怖かったわ。』 『光貴の興味を引き出すために色々したけど、ダメだった。だからもう私吹っ切って、焦らないで、もしこの子が社会でうまくやっていけなくても、一生サポートするって決めてた。お父さんにもこのことは話してあるわ。私と結婚したら、息子のことで負担をかけるってわかってたもの。』 「そう、だったんですか……」 『ふふ、でもね、嘉風くん。あなたが現れたの。顔には出さなかったけれど、私達本当にびっくりしたのよ?あの光貴が誰かに興味を持った、って。すごく嬉しかった。 たしかにスキンシップは過剰だし、今あの子の全部はあなたに向いているから、気持ちが重いかもしれないわ……。でもね。出来たら、少しでもあの子をいいな、って思ってるなら、考えてやって欲しいの。息子の初恋なの、いいえ、なんて言えば良いかわからないけど、もっと大事な初めてなの。』 っ、あー、これは、敵わないな…。 「わかった。わかりました、義母さん。……はぁ、ほんとに、貰ってもいいんですか?あとで返せって言われても無理ですよ?」 『本当に?貰ってくれるの?多分面倒な子よ?』 「知ってます、分かってます。まぁでも俺、これでいて結構恋愛方面に関しては歪んでるんで。そーゆー面倒な人、好きなんですよね。」 うん、俺がいないとダメ、とか、俺に全部預けきっちゃうような子、完璧好みドストライク。しかも顔も好みとかもう惚れるしかないよね。 ほんと俺、1ヶ月よく耐えたと思うよ? 『あら、嘉風くん恋愛になると豹変するタイプなのね、意外だわ。……なら、息子をよろしくね。』 「はい。」 社会復帰なんて不可能にさせてあげます。 さすがにこれ義母さんには言えなかったけどね!!

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