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第5話

 俺は3年ぶりに母親との再会を許された。 紙に書かれていた住所はここから2つ隣の町だった。俺が住んでいたあの家の住所ではなかった。  バスを乗り継いで学校終わりに会いに行った。 「まだ一緒に暮らしてもいい?」俺はただこれだけを母に聞きたかった。母は別に俺のことを嫌っていたから施設に入れたわけじゃない。他の大人が入れろって言うからいれるしかなかったんだって。本気でその時は思っていた。  でも結局待っていたのは俺の見たこともない"母"の顔だった。俺の知らない赤ん坊を連れてその家に入って行ったのを遠くから見た。 せっかく母の居場所を教えてもらえて会うことも許された。だけど母は俺を捨てて新しい家庭を持っていた。俺の帰る場所はなかった。

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