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月と吸血鬼 1
「んっ、ねぇ、もう平気ですって……」
「まだ」
何度ねだっても短い返事で流されて、歯噛みする気分で再度ヒバリさんに抱きつく。
あれから俺はひたすらに焦らされていた。
焦らされて焦らされて焦らされて。
それだけでおかしくなりそうなのに、ヒバリさんは決して怒りに任せて俺を抱かなかった。
抱き上げて起こした俺の服を脱がせると、自分の指を俺にしゃぶらせてたっぷり濡らすまで許してくれず。
次にヒバリさんの膝の上に乗ったままその指で慣らされている間に、いたるところにキスを落とされ始めた。
唇だけじゃなく、耳や首筋、いつも噛む場所に少し体を離して胸も唇と舌で刺激されて、すでに俺の方は爆発しそうなほど感じている。
しかもお互いの間で勃ち上がって濡れたそれが擦れ合って、より強い刺激を求めて自然と腰が揺れてしまう。それなのにヒバリさんは犬に待てをかけるみたいにして俺を焦らす。
「ヒバリさん、お願いもう入れて、入れてください、我慢できない……っ」
「泣くなよ。……精がつくだろ」
耐え切れずに哀願する俺の頬をべろりと舐め、ヒバリさんが指を抜いた。
代わりに宛がわれたものの硬さと大きさに、どうしてヒバリさんが丹念に慣らして広げていたのかを知るけれど、今さら後には引けない。
「ゆっくりな」
「あ、あぁ……っ」
支えてくれる手を頼りに膝を立てるようにして腰を浮かせ、ヒバリさんのモノに位置を合わせるとゆっくりと中へと飲み込んでいく。強い圧迫感。それを超えるなんともいえない満足感。
「あ、う、すご……っい、あ」
「おい、ゆっくりって」
早く全部飲み込みたくて、思いきって腰を下ろそうとしてもヒバリさんの手がスピードを落としてしまう。
その結果、中を割り入るヒバリさんの感触が強くリアルに伝わってきて、下半身が蕩けそうだ。
「は、あ、あ……、う、ぜんぶ?」
「……体倒すぞ」
震える足に上手く力が入らなくて、腿の上に乗っかってしまったからてっきり全部入ったものだと思ったんだけど。
抱きしめられたままソファーに体を倒されて、その時に縮まった距離とともに深いところを擦られて体が跳ねた。
「あうっ!? あ、えっ、あっ!」
「力抜いとけ」
ぼそりとした低い呟きとともに、ずんっと奥の奥を突かれて、目の前で火花が散る。
しかもそれは、ほんの始まりに過ぎなかった。
ヒバリさんが腰を打ち付けるたび信じられない気持ち良さが体を走り抜けて、びりびりと痺れるように感じた。
全然全部じゃなかった。
しかも自分で入れるのとは違って、ヒバリさんの動きは自分で制御が利かない。コントロールできない刺激に呆気なく体が陥落する。
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