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早起きはいっぱいの得 1

「はあ、すっきりした」  出勤前のシャワーを浴び終え、俺はタオルで雑に頭を拭きながら風呂場を出る。  最近シャワーを浴びるのがもっぱら朝になっているのは、夜にそんな余裕がなくなったせい。  元から夜が遅くなった時は後回しにして寝ることもあったけれど、それと違って睡眠を優先した結果ではない。むしろ睡眠さえ犠牲にしてる。ていうか睡眠よりも楽しいことを優先している。  ヒバリさんと毎日セックスしている。  いい響きすぎて何回でも言いたい。  ここのところ俺は、毎日ヒバリさんに腰が抜けるほど抱かれている。完全に愛されてる。血も吸われているからエサは継続だけど、恋人であると言っていいだろう。  ヒバリさんの恋人。なんていい響きだろうか。  当然体力は辛い。なのに前よりも日々充実しているのは、もちろん色々満たされてるせいだ。  ぶっちゃけヒバリさんのエロい顔を毎夜見られたらそりゃあ元気も出るというもの。 「睦月、にやにやしてないでさっさと髪乾かせ。風邪引くっつってんだろ」  外で待っていたヒバリさんは、表情から俺がなにを考えているのがわかったのか呆れたように腰に手を当てている。  俺の血と体液を吸ったことで、直接日光を浴びなければ朝も平気になったヒバリさん。そのおかげで朝から怒られて、俺はとても嬉しい。 「風邪引いたら看病してくれますか?」 「しねぇし関係なく抱き潰すから風邪なんか引いてる暇ねぇだろ」 「……体調には気を付けます」  なにより、俺を抱くなんて無理、と言い張っていた頃とは違い、最近のヒバリさんはからめ手で俺に言うことを聞かそうとする。しかも俺が聞かざるを得ないような方向から攻めてくるから卑怯だ。  ただ夜のヒバリさんと違って、普段のヒバリさんはやっぱりどこか俺を子供扱いしている気がするのが気になるところ。  今もすぐにドライヤーを取りに行っているし、テーブルの上には朝食が整っている。ほうれん草とベーコンとクリームチーズがたっぷり入ったオムレツは目にも鮮やかでとても美味しそう。  シャワー中に作ってくれたために料理姿を見逃したのは残念だ。 「ほら、ちゃんと朝飯も食え。ただでさえ寝不足なくせに飯食って血作らねぇとぶっ倒れるぞ」  俺の髪を乾かす用意をしつつのその言葉はしっかりと保護者。確かにヒバリさんから見たら俺なんてきっとずっと年下で、ガキ扱いされてもしょうがないのかもしれないけど。  もうちょっと恋人らしく甘ったるい朝の雰囲気になってもいいんじゃないだろうか。 「もー、寝不足なのは誰のせいですか」 「お前」  だからちょっとしたイチャイチャのつもりだったのに、ずばりと言いきられて、あまりに図星すぎてなにも返せなくなる。  間違いなく俺だ。  初日が初日だったからか、さすがに手加減を覚えてくれたヒバリさんがやめようとするのを引き留めた。なんの学習力もなく、懲りることもせずにねだったし、血を吸われながらイくのが良すぎてこれもねだった。  後でだるくなるのはもちろんわかっていたけれど、いざそうなると抑えきれなかったんだ。 「……ヒバリさんがかっこいいせいです」 「なんだよ、サボってヤるか?」 「え、そんな選択肢が?」  なんて魅力的すぎるお誘い。  この前まであんなにいい雰囲気で拒否られていたのが嘘のようだ。むしろ一度吹っ切れてしまった後はセックスの扱いがとても軽い。

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