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5章【親友の弟の目的を知った俺は、】 1

 大人げなく、急ピッチで酒を飲んだからか。  それとも単純に、アルコールが回っただけかもしれない。……思わずそう、勘違いしてしまいそうになった。  そのくらい、頭の中がグラッと揺れたような感覚がしたのだ。 「……はっ? 今、なんて……ッ?」  俺は、冬人が冬樹の代役を承諾した理由を。  そして事務所のスカウトに応じた理由を、知りたかった。  ……だが。 「この世界に、興味があったワケじゃないのか……ッ?」 「世間での知名度やテレビに出られるということに、私は欠片ばかりの魅力も感じない。だが、兄を知ってもらうため、兄として生きるためには、その道を通らないといけないだろう」  ……いったい、なにを。  なにを、言っているんだ……っ?   「だから、私は兄が所属していた事務所からの話を快諾した。兄が通り、目指した道だというのなら、私もその道をなぞるだけだ。そこに、私自身の興味や関心なんて必要ない」  冬樹の代役を、快諾した理由。  事務所のスカウトに応じた理由が。  ──【月島冬樹になるため】だなんて。  ──そんな理由だろうなんて、誰が思う?  自分のためじゃない。モチロン、両親のためでもなかった。  ただ、純粋に。  ──【冬樹を死なせないため】だったんだ。  そこに、冬人自身の欲求は、なにもない。  自分がどうこうなりたいなんてものは、一切ないのだ。 「なんだってそんな、バカな真似……ッ」  こんなもの、極論にもほどがある。  ──単純に、兄の死を受け入れられないからゆえの、現実逃避?  そう思いたかったが、違う。  ──それよりももっと別な、一線を越えた重たい愛情的なやつなのか?  そうとも思ったが、冬人の考えはヤッパリ、俺の予想の斜め上だった。  動揺する俺とは対照的に、冬人は冷静だ。 「兄の、葬儀の日」  冬人はコップから視線を外すことなく、俺に返答する。 「あの日、似ていると言われて……その時は、なにも分からなかった。だが、事務所からの電話で確信した。『私のせいで命を失った兄になることで、兄に命を返せる』と」  ──『命を返す』?  ──『似ていると言われて』?  ……なんだ、それ?  冬人が冬樹になろうと決心したきっかけは、これまた単純。  ──他人から『似ている』と言われたから。  理解すると同時に、愕然とした。  ──冬人にそう言ったのは、誰だ?  それを言ったのは、他の誰でもない。  ──葬式の日。 『似て、た、ので。本当に、すみません……ッ』  ──そう。  ──俺、だ。  じゃあ、つまり。  冬人がそんな、バカげた極論を見つけたのは。  ……俺のせい、なのか? 『本当にすまな──すみません、でした、失礼なことを、してしまって』 『……っ。お気に、なさらず』  俺が、あの日。  冬樹の、葬式で。  冬人や親御さんに、あんなことを言ったからなのか?

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