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 元々、排泄するための器官だ。  異物を受け入れるような反応はせず、逆に押し返そうとしてくる。  だが、それでも俺は腰を落とす。 「冬人、力抜け……ッ」 「いっ、痛い……ッ! やだ、いやだ……っ!」  先端を挿入し、徐々に深くしていく。そこまでするとさすがに、冬人は痛がった。  立てた膝が。そして内腿が、震えている。  気休め程度に、冬人のペニスを掴んでいる左手を、上下に扱くよう動かす。 「ふ……ッ、うっ、いやだ、やだ……ッ」  冬人の声が、鼻声になった。  枕に顔を押し付けているから見えないが、声の響きと呼吸からして、耐えきれず泣き出したのだろう。  ……胸は、痛む。当り前だ。  だが、それ以上に……。  ──久し振りに与えられる性行為の快感に、理性が勝てなかった。  キツく締め付けてくる冬人の中は、溶けてしまいそうなくらい熱い。心地いいのと気持ちいいのが混ざり合い、堪らない感覚だ。  ──そんな中で、やめてなんてやれるものか……っ。 「あぐ……っ、う……ひぅ……ッ」  泣いているうえに、初めての圧迫感と痛みに浅い呼吸を、冬人は繰り返す。  それでも、俺の強引な挿入のせいで……冬人は俺のを、根元まで受け止めさせられた。  左手に握っていた冬人のペニスは、痛みと苦しさで完全に萎えている状態だ。 「全部、入ったぞ……冬人、ッ」 「う、ぅ……っ」  冬人の両手は、自身の両腕を力強く握っている。  わざわざその手が震えているのを見なくても、繋がっている部分から冬人がどれだけ体に力を入れているのかが、伝わった。  ──だからといって、止めてはやれない。 「動くぞ、冬人」 「う、っあ……は、ッ」  挿入して終了。……とは、なれない。少し引いては、また奥まで突く。  動きとしてはそこまで大きなものではないが、痛めつけるような行為は好きじゃない。  浅い抽挿を、何度か繰り返す。 「あ、は……ッ、うぅッ」  動き始めるも、冬人はただただ苦しそうな呼吸をしているだけ。体中を硬直させて、今の冬人は【必死に耐えている】というふうに見える。  だが、先ほど未知の快感を知った冬人の体は、そのわずかな動きを数回繰り返しているだけで。  ──変化を見せた。 「あ、ぁ……っ。……ん、あっ、は……ッ」  冬人の体は、冬人自身の気持ちを全て無視している。  強引な性交に快感を見出し、声に甘さを混じらせた。  それを合図に、動きの幅をどんどん大きくしていく。  そうすると、左手に収まっていた冬人のペニスが、徐々に大きくなってきた。 「冬人、気持ちいいか……ッ?」  耳元で囁かれる俺の問いに、冬人は尻の穴を一瞬だけキツく締める。冬人のペニスも、ぴくりと反応した。  まるで、悦んでいるかのような反応だ。 「きもち、わるい……ッ。こ、こんなこと、いやだ……ッ」  口では否定の言葉を紡ぐが、体は随分と正直且つ素直だった。

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