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第6話《Ⅰ章》俺は姫⑥

 半年前、俺は晴れて第一志望の巳六段学園高校(みろくだんがくえんこうこう)に入学した。  良く言えば平均、普通に表現すれば平凡の俺が合格したのは奇跡に近い。  巳六段は県内屈指の進学校。  文武両道を謳い、スポーツにも力を入れている。全国大会常連の強豪と呼ばれる部活も少なくない。  そんなハイスペックな高校に一般入試で受かったんだから、人生全部を運を高校受験で使い果たしたんじゃないかとすら思った。  桜が青葉に生まれ変わる季節。  俺は巳六段学園の門をくぐった。  ハァハァハァハァ  ハァハァハァハァ  思いっきり、息を切らしながら。  そう。巳六段学園は六段どころじゃない。  100段!  100段の階段を登った先に建っているのだ。それも山のてっぺんの!  ハァハァハァハァ  ハァハァハァハァ  新入生は山登りからの100段の洗礼を受ける。  太腿とふくらはぎに溜まる乳酸。  毎日通学続けてたら、これは強豪になる筈だ。朝からトレーニングだ。  登りきった所で息を切らしているのが一年生。  その横をふわりと風が通った。  春風の薫りがした。  上級生…… (バレー部のTシャツ……)  『巳六段 排球部』……って、背中に書いてあった。  だから、そわそわ胸が疼いた。  クラスメイトにバレー部の応援に誘われた時は。  そいつは入学して初めてできた友達で、早くもバレー部に入部届を出したんだって。  ……ていうか、スポーツ推薦で入ったから当然か。  中学の時は全国区だっていうから、凄い。  でもそんな凄い奴も、ここじゃ二軍スタートだっていうから、巳六段のレベルってかなり高いんだ。  ……ていうか〜 (一軍・二軍に分かれてるんだ)  そんな部活に今まで出会った事なくて、ドキドキしてしまう。  俺なんかが行っていいのかな?  練習試合だっていうけれど、相手も県大会上位常連の強豪校だ。

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