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第11話《Ⅱ章》凶悪な天使④

「ごめんね。デートに突然付き合ってもらったけど、嫌だったよね」 「そんな事ないです!俺、すごく楽しかったです!」 「本当?」 「本当です!」 「ありがとう。ちょっと安心した」  ……ちょっと……なんだ。  先輩の気持ちの半分も安心させる事ができなくて、瞼を伏せた。 「姫は優しいな」 「えっ」 「うぅん、何でもない」  微笑んでくれた先輩だけど、胸がきゅうって何だか苦しい。 「俺、シャワー浴びてくる。デートしてちょっと汗かいたから。姫はゆっくり休んでて」 「あっ」  ここで先輩を一人行かせてしまっていいの? 「なに〜?姫も一緒に入りたいの。俺とシャワー♪」 「え、あ、うあっ★@※§〜〜!」 「そんなに嫌がらなくても……」  ぐすん。  どうしよう。先輩を泣かせてしまった。 「えっと……また今度」 「うん。じゃあ、次は一緒に入ろう」 「はひ」  ぎゃ。緊張して声が裏返ってしまった。  って!! (先輩と一緒にお風呂)  ……入る約束してしまった〜★  しかも、次は……って言わなかった?先輩。  今度じゃなくって、次。  きっと、俺をリラックスさせようとして言ってくれたんだ。そうだよ、きっと。  先輩優しいから。 「じゃ、後でね。姫。あ、そうだ。ババロア一緒に食べよう」 「ババロア?」 「うん。お持ち帰り限定商品。ほら、最後に行ったカフェの」 「わ!食べたい」 「そう言うと思った。シャワー浴びたら持ってくるから、楽しみに待ってて」 「はい」 「寮の冷蔵庫は危険だ。誰かに食べられてしまうかも知れない。急いでシャワー浴びてくる」 「はい」  なんだかんだで先輩は俺を甘やかしてくれる。  隠れた名店のノスタルジックなカフェで、お持ち帰り限定のババロアをじーっと見つめてたのも、先輩気づいてたんだ。  ちょっと恥ずかしいけど。 (俺、食いしん坊じゃないから)  ……体重、大丈夫だよな。  甘やかされて、大好きな甘いスイーツいっぱい御馳走になって、体重増えたような〜  ブルブルブルっ  そんな事ない!絶対! (……たぶん〜)  あっ。  また聞きそびれてしまった。  練習試合のサーブ  先輩は俺の事、どう思ってるんだろう?  ただの後輩。  ただのルームメイト……かな。

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