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第17話《Ⅲ章》教えて、お狐様①

 真っ白い人がいる。  白装束…… (どこかで見た事がある)  そうだ、歴史の教科書。  袖口が広くて、腰元がふわっとしていて。  平安時代の貴族が着ていた服にそっくりだ。  確か…… (狩衣(かりぎぬ)) 「我を呼んだのは、お主か」 「は、はい」  凛と声が響いた。 (狐が喋った!)  正確には、狐のお面。  髪は歌舞伎で付ける真っ白なフサフサの被ってる。  神様って本当にいるんだ。 「どうした?願い事を言いなさい」 「あっ」  そうだ。  俺が、お狐様を呼び出したんだ。 「あの」 「遠慮せず言いなさい」 「ええっと」 「お主が落としたのは金の斧か、銀の斧か」 「斧は落としていません」 「正直な木こりには金の斧と銀の斧を与えよう」 「斧はいりません。あと、俺は木こりじゃありません」 「知っている。姫崎理津(ひめさきりつ)君だね」 「おおー!」  (さすが神様)  名前は既に調べ済みだ。下準備も怠りない。 「お主は何が望みだ。金か、権力か、女か」 「うっ」  この神様、煩悩に溢れてないか。  それとも望みっていうと『金と権力と女』が定番なのかな。神様リサーチを疑ってはいけないな。 「あぁ、失礼。お主の場合、願いは、金か、権力か、それとも男か」 「エエエェェエエーッ!!」  女が男にすり替わった。なんでっ?? 「何故とは?お主は男が好きであろう」 「キャアァァァー!!」  おと、おとっ、男が好きって。  先輩は好きだけど。でもそれは先輩だからであって、男がという訳ではっ。  でも先輩は男だから、俺は男が好きなのか? 「おと、おとっ、おとっ」 「ゲイなのじゃろう」 「キャアァァァー」  俺がゲイになってしまった★

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