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第20話《Ⅲ章》教えて、お狐様④

「あんにんどうふ……」 「はい」 「あんにんどうふなのか……これは……」  どうしよう、お狐様がしょぼんとしている。 「お主に食べてもらいたくてお持ち帰り限定で購入した、ぱんなこったではないのか」 「わわわっ」  俺のために、神様に気を遣わせてしまった。 「俺、杏仁豆腐も好きですよ」  パクリ 「すごく美味しいです」 「そうか、良かった」 「神様も食べて下さい。あ、でも神様に頂いたのに、それは失礼か」 「いや、一緒に頂こう」  二人で食べる杏仁豆腐。  何だか嬉しいな。 「神様……お狐様……あれ、なんて呼べば?」 「好きなように呼びなさい。神界の決まりで名は教えてやれぬ。すまぬな」 「いえ。じゃあ今度会うまでに考えます」 「今度?」  しまった。  『今度』って言ったら、次に会う約束勝手にしてしまったのと一緒だ。神様はきっと忙しい。会うのだって貴重な機会だ。神様に失礼だよ。 「次の楽しみにとっておく。良い名を考えておくれ」 「はい!」  良かった。  神様、喜んでくれた。 「神様も杏仁豆腐、好きなんですか」 「初めて食した」 「えっ」  あ、そっか。 (神様はお狐様だ) 「油揚げしか食べないんだ」 「おい!」 「へ?」 「毎日油揚げだと飽きる。さすがに、それはないぞ」  神様に突っ込まれた★

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