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第21話《Ⅲ章》教えて、お狐様!⑤

「ここ、付いておるぞ」  えっ……  ふわり、と。  風がそよいだ。  口角に触れた温もり。 「甘いな、あんにんどうふなる物は」 「あああ、あ」 「とても美味しかった……ん?どうした」  パクパクパク  お口が金魚さん。 「あぁ、まだ食べたりないのだな。ほら、あーん」  パクパクパク……ん、んん〜  どさくさに紛れて、あーんで食べさせてもらった。キャー。  ……って。それより前にもっとすごい事されてるよ! 「今キス!」 「きす……あぁ、接吻か」 「そう、それ」 「唇には触れていないが」 「でも」  すごく際どい場所。 「……よく分からないです」 「分からないのか」 「はい……でも」  俺、何を言おうとしてるんだろう。神様に。 「すまぬ、少々いじめすぎた」  ワシャ  大きな手が降ってきた。 「お主に触れたくなった我の我儘だ。許せ」 「わわっ」  神様の手が俺の髪の毛をかき混ぜる。 「その代わりと言っては何だが、お主に力を授けたぞ」 「力?」 「好きな者の前で『コンコン』と言ってウィンクしなさい」 「コンコン」  ウィンク★ 「………」 「………」 「………」 「お主、変な顔だ」 「キャア〜」  だって。俺、ウィンクできない。  片目だけ瞑ろうとすると、クシャって顔がなってしまう。  ププっと神様が笑ってる。  恥ずかしいよー! 「まあ良い。力を授けた我には効かぬが、無闇に試すでないぞ。ウィンクされた者は、お主を愛するゆえにな」  俺を、愛する…… 「キャアァァァ〜!!」

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