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第23話《Ⅲ章》教えて、お狐様!⑦
カチャリ
ドアノブに手を掛けてハッとする。
(お狐様)
見られてはまずいだろうか。神様だし。
振り返ると、ゴソゴソゴソ。神様はベッドの中に潜り込んでいた。これなら大丈夫。
「今開けますねー」
カチャン
鍵は掛けてないけど、先輩を迎え入れる。……筈が。
「あの、えっと」
ドアの向こうに立っているのは、長身の人。落ち着いた雰囲気が何となく三年生かな、と思った。
どこかで会ってるような……
(ダメだ。思い出せない)
でも、確かにどこかで見たような気がする。
「夜分にすまないね。路夜はいるかな」
(先輩を呼び捨てにした)
やっぱり三年生だ。
「あの。お風呂です。シャワーを浴びに行くって」
「そうか。これ、渡しといてくれるかな」
「はい」
言われるがままに封筒を受け取った。
手紙かな。
「じゃあ、頼んだよ」
そう言って、長身の人は去っていく。
(あっ)
目の前でじろじろ見るのは不躾かなと思ってやめたけど。ひっくり返して封筒の裏、確認したけれど、名前書いてない。
誰から?って先輩に聞かれても答えられない。
「待って!」
ドアを蹴破る勢いで飛び出した。
「待って下さい!」
「えっ」
追いついた。でも必死の形相で追いかけた俺に長身の先輩がビックリしている。
「どうしたの?」
「あの」
驚きを隠せないながらも穏やかに見つめる視線を見上げた。
「誰ですか?」
「あ……」
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