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第27話《Ⅳ章》訪問者を突然に④
姫……
姫……
「どうしたの、姫?」
「のわっ」
目の前に人影が★
「わっ」
「わっ、先輩」
「相変わらず、ビックリするなぁ。姫の奇声は」
「ごご、ごめんなさい」
「それだけ元気なら心配ない」
ほっと息をついて笑った先輩の顔に胸が苦しくなる。
「どうしたの?」
「いえ、何でも」
「どうして、こんな所で突っ立ってたの」
先輩は鋭い。
部屋にも入らず、こんな所で立ってたら不審者だよね。
「部屋に帰ったら姫がいなくて……君を探した。ほんとはデートが嫌で、俺との同室も嫌になって、逃げられたのかと思った」
「そんな事ありません!絶対ありません!」
俺が先輩を嫌うなんて。
あれ……
どうして先輩?
いつもならここで「だよね」って笑ってくれるところなのに。
(先輩、笑ってくれない)
「笹原君、だっけ。姫には仲のいい友達もいるし、もう少しで彼の部屋に殴り込みに行くところだったよ」
「笹原はクラスメイトだし、仲いいけど。でも今回の事は関係ないですよ」
「そ……」
なんか先輩、雰囲気がいつもと違う。
だから……
伸びてきた先輩の手を避けてしまった。
「ごめんなさい」
「謝られると傷つくんだけど」
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