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第62話《Ⅹ章》会長はほんとうに会長⑤
来月に控える文化祭。
「ミロク文化祭は地元の方も招いて盛大に行ってるんだ」
「知ってます。俺も去年、文化祭に来ました」
「楽しんでもらえた?」
「はい!たこ焼きもクレープも美味しかったし、スーパーボール釣りで友達と対戦してすごく楽しかったです。……負けちゃしましたけど」
「楽しんでもらえて良かった。負けたのは残念だったね」
話していると、ほわっと心の中、一年前の楽しい思い出が甦ってくる。
あの頃はまだ、俺がミロクに入学するなんて思ってなかった。
でも今はミロクに入って本当に良かったと思っている。
「ミロク文化祭は地元の方への感謝を伝えるために、学園を開放して地域全体で楽しむ。これは伝統なんだ」
「はい」
とってもいい伝統だな。
「なのにこいつが非協力的だ」
こいつというのは紛れもない、大佐和先輩だ。
「どうして」
文化祭、すごく楽しいのに。
「『ちびっこばれーぼーる学園』をしようと誘ったのに、自分は参加しないと言い出す始末だ」
「先輩はミロクのエースでしょ」
「その通り。巳六段バレーボール部元主将でエースの路夜が断るなんてあり得ない」
「先輩、ひどいです」
「アアー、もうーっ!!」
ヒャア、先輩が奇声を上げた★
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