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第63話《Ⅹ章》会長はほんとうに会長⑥

「ひどいのは君達の方だよ!」 「八つ当たりはひどいです」 「それこそ、言いがかりだ」  うんうん、と会長と二人で頷く。 「一体いつから君達はそんなに仲良くなったんだ?」 「えっと〜」 「さっきから仲良しだ」  俺の肩を抱こうとした会長の手を……  ペシンッ!!  先輩がはたき落とした。  かなり大きい音がしたけど、大丈夫かな? 「嫉妬してるのか、路夜?」  会長の手が伸びてくる。  ペシンッ!! 「男の嫉妬は醜いぞ」  ペシンッ!! 「俺は嫉妬してません」  ペシンッ!!  あ。肩を抱こうとしてないのに、会長の手をはたいた。 「あの、先輩……」 「なに?姫」  心なしか先輩の視線が怖い。 「そんなにきつく叩かなくても〜。大きな音してたし」 「大きな音がした方が、実際はそんなに痛くないんだよ」  そうなのか? 「姫崎君は僕の心配をしてくれたんだね。ありがとう」  ふわりと伸びた彼の手が髪を掻き分けて、吐息がくすぐった。  耳のひだを、もっと深くもっと静かに、もっと優しく……  囁いた声が熱になる。  ……チュッ 「なななァァァァー!」  もしかしてっ、もしかしてっ  もしかしてェェエー!! (俺ッ)  会長にキスされた!!

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