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俺の話(尊)
記憶をなくした准君は以前に比べて、優しく微笑んでくれるようになった
俺の事を・・尊と呼んでくれる
そして、真っ直ぐ俺を見てくれるようになった
あの日
事故に合ったと知らせを受けた時は心臓が止まると思った
仕事を放りだし病院に車を走らせた
病院に到着すると、両親も来ていた
二人の顔を見て全身の血が下がっていくのを感じたが
准君が無事だと聞いて安堵して
姉が亡くなったと聞いて・・
俺は・・・
俺は・・・
どう思ったんだろう
涙は出た
悲しくて胸が締め付けられそうだった
けど・・
でも・・悲しいだけじゃない自分に胸が苦しくなった
・
目覚めた准君は俺の言葉を全て受け入れてくれる
辛い料理が苦手だった准君
どんな反応するかな・・なんて好奇心から辛めの麻婆豆腐を食べさせると
「・ゴホ・・ゲホ・・マジで、俺辛いの好きだったの?」
涙目で言う姿が可愛かった
弁護士の仕事をしている時とは・・いや、記憶を無くす前の准君からは想像できない姿だった
どこまで、俺の言葉を信じてくれるだろうか
俺の欲望のままに言ってみた
信じないかもしれないし、怒られるかもしれないけど、それでもいい
一緒に寝ていたんだよと言う俺の言葉に驚いてはいたが、了承してくれた
ここまできたら、もう行けるところまでいくしかないと思い後ろから抱き締めた
「尊・・熱くないの?」
後ろを振り返りながら言った
「熱くないよ・・」
小さく笑いながら、背中に額を当てた
温もりに、俺の全てが満たされる
准君・・好きだよ
ねえ・・准君
ずっと・・このままでいてくれよ
・
「ふー・・」
暫くして寝息が聞こえてきたけど俺は、全然眠れない
「はあ・・」
このまま・・抱きしめてキスしたい
全部忘れちゃったんだよね
全部
俺の気持ちも
姉貴の気持ちも
准君の・・・気持ちも・・・
「・・・っく・・」
込み上げる感情に唇を噛んだ
お願いだ・・
准君・・まだ・・思い出さないで
出来るなら
この幸福な時間をもう少し
「・・・准君」
押し込めた感情が溢れそうになり奥歯を噛み締め
背中に顔を埋め目を瞑った
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