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友人

病院に行ってから数日、俺は今日も一人部屋で過ごしていた。 尊は毎日、俺に謝りながら仕事に行く。 謝ることなんてないのにと俺は毎日苦笑していた。 尊が仕事に行ったあとは、何もすることが無いから、ソファに座りボーっと過ごしたり 近所のスーパーに買い物に行って、夕食の準備もして時間を潰すしかない。 蓄積されている記憶のおかげなのか、料理は尊より上手いと思う。 最初は、日にちが立てば記憶も戻るだろうと考えていたが、記憶が戻ることはなかった。 「はあ・・」 何故なんだ 日に日に焦りが募っていく。 どうにもならないと分かっているのだが、 (また・・先生の所に行こうか・・) そう思った時、テーブルに置いたスマホが鳴った。 prrr・・・prrr・・・ 「あ・・・」 それは、尊から貰った新しい携帯だ。 前の携帯は事故で破損してしまったらしい。 着信画面を見ると『江角』という文字がある 「江角さん!」 急いで携帯を耳に当てると 『准君?・・今、家かな?』 彼の落ち着いた声が聞こえてきます。 「はい、そうです」 尊以外からの電話は初めてで、なんだか緊張してしまう。 『じゃ・・今から行っても良い?』 「勿論です!暇してるので!」 『ハハ・・暇してるの?じゃ・・暇つぶし連れて行くよ』 「え?」 『じゃ・・あと30分くらいでつくから』 そう言って電話は切れた。 暇つぶし? 「連れてくるって・・何だろう?」 意味が分からず首を傾げたが、暇なのは本当なので来てくれるのは嬉しかった。 ポットにお湯を沸かし入れ、あまり散らかってはいないけどリビングも片付けを終わったころインターフォンが鳴った。 「は~い!」 玄関にいき、鍵を開けると同時に扉が開き 「こんにちは」 江角さんが、顔を覗かせた。 「いらっしゃい!どうぞ上がってくだっ・・・」 ドアを開けて、中に入ってもらおうとした時、後ろから人影が見えた。 「暇つぶし・・連れてきたよ」 うん?と江角さんの後ろを覗き込むと、江角さんと同じくらいの身長の男が立っていた。 「暇つぶし・・ですか?」 彼が暇潰しということだろうか? 「・・・・・」 男は無言で俺を見つめていた。 見た目は俺より年下に見える。 半袖のシャツにチェック柄のハーフパンツを履いている。 (この人も俺の知り合いかな?) 顔を見ても、勿論記憶にない。 「あ・・どうぞ、あがってください」 何も言わない男に言うと 「マジかよ・・・」 眉を微かに動かし、ハア・・っと息を吐きながら言った。 「んだよ・・信用してなかったのか?」 江角さんが振り返りながら言うと、男は「だって・・」と唇を尖らせながら言った。

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