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関係

「さてと・・そろそろ帰って来るころじゃない?」 「え?」 充が時計を指さして言った 「尊君だよ」 「え?!もう、そんな時間?」 驚いて時計を見ると18時を過ぎていた。 「本当だ!こんなに時間経っていたのか」 尊は、いつも18時半頃に帰ってくる。 「凄い・・こんなに一日が速く過ぎたの初めてだ」 「・・ずっと家にいるのは・・退屈だもんな」 「そうだね・・」 リビングも毎日掃除していたら汚れないし、洗濯も毎日するほど出ない。 当然やる事もないし 「まあ・・さ、良いんじゃない?」 座ったまま両手を上げて背伸びをした。 「え?」 「退屈って思えるのも幸せだよ!」 (・・?) どういう意味か分からず首を傾げた時、玄関のドアが開く音が聞こえた。 「あ!」 そして尊の声 「帰ってきたね」 その声を聞き充がニコッと笑うと同時にリビングのドアが開いた 「充!」 額に汗を浮かべ、尊が入ってきた。 「っよ!」 振り返った充はニヤッと口の端を上げながら手を振った。 「いつ帰ってきたの?」 驚いた顔でいうと、鞄を床に置き、充の前に座った。 「今日だよ・・帰ってきて直ぐに江角さんに連れてこられた」 「そっか・・」 大きく息を吐くと、ネクタイを緩めながら立ち上がった。 「准君、充のことは・・」 「うん、同級生なんだってね・・残念ながら覚えてないんだけどね」 苦笑いしながら言うと「そうか」と小さく言ってキッチンに行った。 冷蔵庫から缶ビールを取り出しリビングに戻る。 「尊、ご飯まだ用意してないんだ・・今から作るよ」 ずっとゲームしていたから、夕飯の事を忘れていた。 「准君!いいよ・・今日は出前頼もう」 「そうそう、っつうか准は何もしなくて良いんだよ!こいつ居候なんだろ?」 「エヘヘ・・そうだね」 「いや・・居候なんかじゃないよ・・尊は俺の為に居てくれてるんだし」 「・・・・・・」 その時・・充の表情が動いた その唇から笑みが消えて 悲しそうな目を俺に向ける 「うん?」 でも、それは一瞬の事で、俺がどうしたと聞こうとしたときには表情はもとに戻り 「もう~やっぱり准は優しいな~」 その口元に笑みを戻して言った。 「・・・准、何食べたい?」 「俺は何でも・・」 「はい!俺は寿司食べたい!」 充が手を上げながら言った。 「ああ、良いね!寿司頼もう!」 二人が手を合わせて笑った。 充と尊は、とても仲がよさそうだった。 ・ 「じゃ・・俺は帰るよ」 寿司を食べ終わると充は、帰り支度を始めた。 「今日は・・ありがとう」 尊が笑みを浮かべていうと 「・・藤堂さん・・准の事よろしくね」 二人が顔を見合わせているのを交互に見た。 なんだろう・・ 二人の間にしかない空気感を感じる 「准、ゲーム機置いていくからさ・・また来るね」 そう言って、充は帰って行った

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