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記憶の断片

マンションに戻ると、ドアの前に人影が見えた。 「あ・・・」 ドキッとして思わず声をあげるとドアにもたれ掛りしゃがんでいる人物が顔を上げる 「やっと帰ってきた~」 そして、俺の顔を見るなり立ち上がって背伸びをした。 小柄な体格で、少し眉が下がったその顔は、覚えている。 潤「充?!」 Tシャツにハーフパンツ、そしてビーチサンダルを履いた充が俺を見て笑った 「どこ行ってたの?」 よっこいせ・・と言いながら立ち上がった充に駆け寄り、急いで玄関のカギを鞄から出した。 「病院に行ってたんだ・・来るとは思わなかった」 鍵を開けると、俺が開けるより先充がドアを開けた。 「また来るって言ったじゃん?」 俺の顔を覗き混みながら笑みを浮かべた。 「また・・が次の日とは思わないよ」 (ほんと、昔から勝手な人なんだから・・) はあ・・っと溜息をつきながら玄関に入った 「あれ?」 「うん?」 俺の声に充が後ろを振り返った 「いや・・何でもない・・」 俺・・今・・・思い出した? 昔から、そうだったと思ったよね? うん・・思い出しているのかもしれない 自覚は無いけど 充とは昔から、こうやって付き合ってきたって感じがした。 『・・准が苦しむだけだ!・・』 そうだ・・ あの声は充だ! 時々夢の中で出てくる声は・・俺が昔充に言われてきた事だ。 「あ・・っつ・・」 その瞬間、頭に痛みが走った 「!?潤君?」 頭を押さえた俺を見て充が駆け寄り肩を抱いた 「どうした?大丈夫か?」 「うん・・大丈夫・・ちょっと頭痛がしただけ」 頭を押さえたまま言うと 「病院帰りなのに、頭痛いとかって・・大丈夫かよ」 眉を下げて不安そうな顔をする充に俺は、笑みを浮かべて言った 「カウンセリングだからね・・治療をしてるわけでは無いんだ」 「カウンセリング?」 首を傾げる充に、三枝先生の話をした ・ 「ふ~ん・・三枝先生・・ね~?」 ソファに座り鼻を鳴らしながら腕組みをした 「凄くいい先生なんだよ!今度、尊にも合わせようと思ってさ!」 「なんで?」 そこで、充が首をかしげる。 「え?」 「何で、藤堂さんを会わせるの?」 「尊が会いたいって言っていたし・・三枝先生も是非会わせてくれって・・」 充は、ううんっと短く唸り表情が少し険しくなった。 「なに?変かな?」 「うん、変だね」 「え?」 どこが変なんだろうと思ったが 「ゲームしようよ!」 立ち上がり、テレビの前に座った。 「はい?あ・・うん・・」 充がテレビのスイッチを入れてゲームを始めてしまい、それ以上何も聞けなかった

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