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目が覚めると
『・・・何で・・・・』
これで良いんだ・・
『いつの間に・・そんな事になってたんだよ・・』
眉を顰めて言う彼に俺は顔を背けた
いつか、終わるかもしれない関係なんて・・俺は嫌だ
ゴールが無い・・・終わりしかない関係なんて・・
『・・何で・・』
そんな目で俺を見ないでくれ・・
良いんだ・・
どんな形でも良いんだ
俺は君の側に居たいんだ
これで・・君とは他人じゃなくなる
「・・なんで・・そんな選択しかできないんだ」
充が泣きそうな顔で言った。
俺よりも悲しそうな顔だった。
・
ーー准!ー
「うわ!」
不意に充の声がして目が覚めた。
「はあ・・」
部屋は暗くなっている。
「今何時だろ・・」
ベッド横に置いてある時計を見ると20時を過ぎていた。
(もう帰って来たかな・・)
ベッドから下りてリビングへ続くドアを開けた。
「だって・・あっ!」
開けると同時に尊の声が聞こえてきた。
「准・・・」
俺を見た尊が、驚いた顔をして充は夢と同じように眉をしかめていた。
「頭痛大丈夫?」
充が微笑みながらソファから立ち上がった。
「う・・うん、もう平気・・」
寝ている間、夢の内容は相変わらず曖昧だが、充の声と顔だけは覚えている。
『・・なんで・・そんな選択しかできないんだ』
(選択って何の事だろう?)
その前後の会話が、あまり覚えていない。
というか、これは夢と言うより記憶のような気がする。
「准君、お腹空かない?俺、ラーメン買って来たよ」
「あ・・うん、食べようかな」
ラーメンの言葉に急に腹が減ってきた。
「じゃ、俺も食べようかな」
充がニヤッと笑うと
「・・充は帰ったら?」
尊が唇を尖らせながら言った。
その瞬間、充が声をあげて笑った。
「うっわ~露骨~アハハ」
「うるせー」
尊も笑いだす。
二人が笑い合っているのを見て胸の奥がチクっと痛んだ。
(なんだ・・これ?)
「って言うか、充の分ないし!」
「あるだろ?ほら、3個買ってきてるじゃん」
「これは明日の昼なんだよ!」
2人が言い合いながらキッチンに行く
「・・・・」
チクチクと胸が痛い
なんだよ・・仲良いな・・
そう思いながら俺はソファに座った。
「はあ・・」
(なんだか・・疎外感だな・・)
キッチンで楽しげな二人を見て、少し面白くないと思った。
記憶を失う前の俺だったら、あの二人と一緒に笑いあえただろう。
「充って昔から、そうだよね!」
「クク・・そう?」
二人の会話を聞きながら携帯を取り出した
メールボックスを開くと三枝先生からのメール
困ったことがあれば、直ぐ連絡くださいと言われたことを思い出す。
(明日も病院に行こうかな・・)
ハアっと溜息をついたとき
「准君!ラーメン、どれが良い?」
尊がキッチンから叫んだ。
「あ、うん!」
慌てて携帯をズボンのポケットに入れた。
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