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友達

次の日も尊は仕事に出かけた。 「じゃあ・・今日は早く帰って来れるからね!」 そう言って俺の手を強く握る 「うん、気をつけて」 手のひらに感じる尊の体温に、胸の奥がじわじわと熱くなる感じがした。 「行ってきます!」 「いってらっしゃい」 玄関を出て扉が閉まるまで手を降る尊に苦笑した。 「さて・・と」 出掛ける前に洗濯を済ませてしまおうと、洗面所に向かった (お昼まで誘われちゃったな) 昨日送ったメールにやっぱり三枝先生は直ぐに返事をくれた。 『カウンセリングの後、食事でもどうですか?』 思えば、退院してから、尊以外と食事に行くことなんて無かったから先生に誘われて、嬉しかった。 昔の記憶が無い俺にとって、先生が唯一俺の友達のような気がしてならない。 尊や充も俺には優しいし、一緒にいて楽しいけど・・ でも、どこか余所余所しさを感じていた。 彼らの記憶が無い自分に後ろめたさを感じているからかもしれない。 「はあ・・」 尊と一緒に寝るのも、嫌じゃないし、彼の温もりが心地よく感じたりもする。 でも、どこか違和感を感じるんだ。 一緒にいれることに嬉しいと思っている自分もいる感じがするけど でも、何かが違う。 胸に溜まっていくモヤモヤっとした気持ち この気持ち、先生に話せば、少しは解消されるだろうか・・ ・ 「一緒に寝ている?」 ぎょっとしたように目を見開いて俺を凝視した。 「寝てると言っても、うちのベッドダブルなので余裕なんですけどね・・」 慌てて付け足したが、まだ驚いたような顔をしている。 「へえ・・それは・・仲が良いんですね」 「やっぱり、男二人で同じベッドで寝るなんて・・変ですか?」 「いや・・変では無いですよ?変では無いけど・・そうですか・・」 先生は胸の前で腕組みをしながら「ううん・・」と唸っていた 「雨宮さんは、一緒に寝ても嫌悪感は感じないんですね?」 腕組をしたまま俺の顔をチラッと見てきた。 「はい・・嫌では無いです」 「なるほど・・昔の事は思い出してきたのですか?」 「いえ・・とくには・・」 「では、もう一つ聞きますが・・」 先生は腕組みを解き、テーブルの上で両手の指を絡めて置くと少し身を乗り出した 「はい、何でしょうか?」 改まった雰囲気に俺も背筋を伸ばした。 「雨宮さん・・今の生活は辛くはないですか?」 「・・・え?」 「藤堂さんの事も思い出せない状態で、いわば、今の雨宮さんにとって、彼は友人というよりは、他人に近い存在ですよね?」 「・・はい・・」 その言葉にズキンと胸に痛みが走った。 「これは、私からの一つの提案ですが・・」 そこで、先生は一旦言葉を切ると、コホンっと小さく咳払いをして 「暫く、離れてみてはどうですか?」と言った

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