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第3話
2人に連れられしばらく歩くと中庭に着く
2人は手慣れたようにレジャーシートを敷いたり軽食を出したりとピクニックの準備を始めた
手渡された温かな紅茶を一口飲むと、知らないうちに強張っていた体の力が抜けたような気がした
「それで、どうしたの?」
2人に事情を話すと、昨日のことを思い出して涙が溢れてきた
もう枯れるほど泣いたというのに
「うそ、古賀先生が?」
「それは辛いね」
2人は俺の背中や頭を撫で、涙を拭いて慰めてくれた
つい先ほど初めて話をしたばかりであったが、人の温もりが俺の荒んだ心を癒してくれた
「けど、古賀先生のところは政略結婚で今は仮面夫婦って有名だけど」
「そうそう、奥さん不倫してるんでしょ」
金持ち達の情報網があるようで、2人はそう教えてくれた
「…それでも、先生は俺を選ばなかった」
「生徒には手を出さないって言ってたんでしょ?卒業してから迫ってみたら」
「確かに。穂積 くん、美人さんだから古賀先生もいつかは我慢できなくなるよ。しかも、運命の番な訳だし」
そう言って励ましてくれるが、俺には既に自信がなかった
「…俺は一目見て先生が欲しくなったのに、先生は違ったんだ。先生にとって俺は運命の番じゃないのかも」
ネガティヴになる俺に、2人が困ったように目を合わせるのが見えた
心優しい2人を困らせてしまうのは申し訳ないが、今は立ち直れる気がしないのだ
「古賀先生も穂積くんのこと意識してると思うんだけどなあ」
「ね。まあ、また何かあったら相談してよ。解決するかは分からないけど」
2人の言葉に頷いて、俺らは授業に戻ったのだった
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