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第7話

自分が思っていたより心の傷は深かったようで、俺はαを見るとフラッシュバックを起こしパニックに陥るようになった αのいる教室にはもちろん入ることができず、学校側の配慮で保健室で授業を受けさせてもらっている 俺と同じΩでカウンセラーの資格を持つ保険医の真壁(まかべ)先生が勉強を見てくれて、休憩時間には俺のカウンセリングもしてくれた 「小川くん、ここ違うかも」 「あ、本当だ。ありがとう、真壁先生」 今日も保健室で真壁先生と2人勉強している あの事件からしばらく経つが俺の心はまだ修復されないようで相変わらずパニックを起こすし、夜眠れない日が増えた なんとか寝付けてもあの日の夢を見て飛び起きてしまうため、寝不足が続いている 「失礼します」 俺が保健室登校を始めてから、古賀先生も保健室に来るようになった 俺がαの中で先生にだけは何故かパニックを起こさず話ができるため、リハビリを兼ねているという 未練がましく先生をまだ思っている俺としては、複雑なのであまり会いたくはない 「職員室に用事があるから少し抜けるね」 「待って、真壁先生。俺も行く」 「ダメだよ、αに会いたくないだろう。すぐ戻るから」 しかも先生が保健室に来ると、真壁先生はなにかと用事を告げて俺と先生を2人きりにするのだ 「課題、やっていたのか」 「…はい」 「分からないところあるか?」 「…真壁先生に、教えてもらいました」 「…そうか、」 何故先生は保健室に来るのだろう 他のαに抱かれ汚れたΩなどもう要らないだろうに 俺のために使う時間が勿体ないと思わないのだろうか 会いに来なくていい、と何度伝えても先生は毎日俺に会いに来るのだ

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