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『修復』2

「…かわいい」 思わず、と言ったように呟いた康平くん 泣き止んだ晴希と康平くんから離れ、1人ぐずっていた晴翔を抱き上げあやしてやる 晴希は今度は俺が離れても泣くことはせず、康平くんの腕の中でご機嫌にお喋りをしていた 「その子が晴希でこの子が晴翔っていうんだ」 「…おんなじ顔」 康平くんは2人の顔を不思議そうに見比べていた 晴希と晴翔は一卵性のためほとんど同じ顔をしていて、初めは産んだ俺自身も見間違える程似ている 「双子なんだ。この子達は元々1人だったんだけど、俺のお腹の中で2人になったの。だから顔が似てるんだ」 「…いいな、俺も2人で産まれたかった」 「どうして?」 「そうしたら、いつも一緒に居るから寂しくないでしょ」 康平くんの言葉に思わず晴翔を抱えていない方の腕で康平くんの体を強く抱きしめる 康平くんは突然俺に抱きしめられ戸惑っていたが、次第に力を抜き俺に体を預けてくれた 「…康平くんは寂しいの?」 「…うん。母さんは俺のことあんまり好きじゃないみたい。一緒に遊んでくれないし話しかけても怖い顔をしてうるさい、って言うんだ。父さんは抱っこして遊んでくれるけどたまにしか会えないし、家には帰って来ないんだ」 ポツポツと呟くように教えてくれた康平くんの心情に、胸が張り裂けるように痛んだ 拓馬さんは18歳を迎えてすぐ、親の会社のために3歳年上の女性と結婚して子どもを作ったという 拓馬さんは奥さんと性格が合わなかったようで、奥さんの妊娠がわかると1人家を出て暮らし始めたそうだ その後奥さんも実家に戻り、康平くんは奥さんの実家で育てられたと聞いた 拓馬さんは最低でも月に1度は康平くんに会いに行っていたようだが、両親に望んだ愛情を与えてもらえなかった康平くんの寂しさは計り知れない 親の会社の為に結婚させられ、子どもまで作らされた拓馬さんと奥さんの気もちも分からなくはないが大人の事情に振り回され、傷ついている康平くんのことを考えると沸々とした怒りが湧いてくる これは後でしっかりと叱ってやらないと そう意気込み拳を硬く握るが、今は康平くんが先だ 「1人は寂しいよね。俺も同じ」 「…ほーちゃんも?」 「うん、1人が寂しいのはみんな同じだよ。康平くんだけじゃない。我慢しなくて良いんだよ」 俺の言葉に段々と目を潤ませた康平くんから晴希を預かり、2人を寝かせて康平くんだけを抱きしめてやる 康平くんは俺にしがみつくと堪えていた涙を零し、大声で泣き始めた その泣き声につられた晴希と晴翔も泣き始めたが、俺は康平くんに回した腕を緩めることはせず、抱きしめ続けた

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