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『旅行』2
「すごい!綺麗!」
宿泊する旅館に着き、チェックインをして部屋に入る
一体一泊でいくらするのかと俺が豪奢な部屋に唖然としている傍らで、康平が興奮気味に部屋を探検していた
宿泊先の手配を拓馬さんに一任したのは間違いだったのかもしれない
教師という職業に就いているため忘れていたが、彼は本来御曹司で裕福な家庭で育ってきたのだ
「パパ!これ見て、すごいよ!」
突っ込みたいところはあったが、初めての家族旅行だし康平が楽しそうならまあいいか、と気もちを改め康平の元へ向かった
「カッコいい!」
荷物を置いて、俺達はサファリパークへ出向いた
康平お目当てのライオンバスに乗り込みパーク内を回ると、見えてくる動物に康平は大喜び
餌やりでは近づいてきたライオンに少し腰が引けていたが一人で食べさせることができたので褒めてやると怖くなかった、と見栄を張って言う康平につい笑ってしまった
康平が心配していた晴希と晴翔は丁度寝ていたため動物を見ることはできなかったが、起きていたらきっと迫力に泣いていただろうから逆に良かったのかもしれない
2人が大きくなったらまた連れてきてあげよう
バスがパーク内を一周し、小動物のお触りコーナーでモルモットやうさぎを触らせてもらうともういい時間になっていたので帰る前に土産屋に入る
ライオンの人形を物欲しそうに見つめているのに強請ってこない康平に、拓馬さんと目配せしてこっそり買った
焦らずゆっくりと、自分の気もちを口にできるようになればいいと思いながら
部屋に戻ってまたもや豪華な夕飯を食べ、風呂に入り、家族並んで布団に入る
康平は拓馬さんと大浴場に行き、その広さにまた大騒ぎだったようだ
興奮が冷めやらない様子でサファリパークや大浴場の話を寝付くギリギリまでしていた
「寝たな」
「寝たね。寝る寸前まで話してたよ。余程楽しかったんだね」
幸せそうに口元に笑みを浮かべながら眠る康平の頭を撫でてやり、俺も寝ようと布団をかけ直すと覆い被さってくる拓馬さんの姿
そのまま首筋やおでこに唇を落とされる
「…するの?」
「したい」
「じゃあ、向こう行こう」
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