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第8話 寸止め焦らしプレイとかやめてください

「お、おい……エイリ……!」 「ふふ。動けない?」 「やっぱりお前、何かしたのか!?」 「簡単な拘束魔法《バインド》だよ。兄さんが本気を出せば壊せるくらいのね」  コイツ、俺を試してるのか?  エイリを無理やり跳ね除けるか、このまま流れに任せてしまうのか。  拘束を解くのは難しくないけど、力任せにやってエイリに怪我でもさせたらと思うと動きが鈍る。 「優しいね、兄さん」 「っ、その呼び方……ズルくないか」 「どうして?」 「お前は、アルトじゃなくて……俺が、白瀬俊介が好きなくせに、記憶が戻った俺を兄と呼び続けるのは……俺が弟に甘いから、だろ」 「ふふっ。そうだね、兄さんは本当に僕のことを弟として可愛がってくれたもんね。僕じゃなくて、弟のエイリを。悔しいけど、それでもその立場を利用出来るのならいいかなって」 「さい、あく……」  エイリの手が、俺の足の間に伸びる。  ズボンの上からそれを撫でられ、俺は歯を食いしばって変な声が出ないように耐えた。 「……温かい。これが、白瀬のなんだね……」 「や、めろ……」  エイリの指先が俺のモノをゆるゆると撫でながら、胸元に唇を這わしてきた。  生暖かい舌の感触に背中が震える。さすがに俺、今までの彼女にも胸を舐められたことなんかないんですけど。男の胸なんか触っても楽しくないだろ。平らなおっぱいなんか、つまらないだろ。  そんな俺の思いとは裏腹に、エイリの顔はメチャクチャ楽しそうだった。 「ふ、ふふ……さすが兄さん、鍛えられてるね……細いのに、逞しい胸板……良いね」  そりゃ毎日のように山道歩いてるんだから自然と鍛えられるさ。  いや、今はそんなことどうでもいいんだよ。  頼むから俺の胸を舐めるな。なんか、変な気になってくる。男が胸で感じるとか、恥ずかしいだろ。 「っ、エイ、リ……もう、やめ……」 「い、や、だ……」  エイリは俺の胸をずっと舐めてる。その間も手は俺のモノをズボンの上から撫で続けてるし、イケそうでイケないもどかしい感じが俺の頭をおかしくする。 「は、っぁ……」 「気持ちいい?」 「……っ、なわけ、あるか……」 「ここ、こんなに硬くしてるのに……?」 「っ!」  ズボンの上からギュッと握られ、体がビクッと反応する。  これは生理現象だ。そこを触られたら誰だって反応するだろ。だからこれは、お前で感じてるわけじゃないんだ。断じて。 「かわいい……兄さん、そんな顔をするんだね……もう二度と、その顔を僕以外に見せないでね。僕だけの兄さんでいてね。兄さんの体に触れていいのは、僕だけ。僕だけなんだから」 「ふざ、けっ……」 「兄さん……」  エイリの手が、俺のズボンを脱がそうとした。  マズい。これ以上は駄目だ。これ以上先に進んだらいけない。  駄目だって分かってるのに。この、もどかしい感覚をどうにかしてほしいと願っている自分も心の片隅にいる。  そんなこと思うな。駄目だ。コイツは弟出し、男だし、中身は幼馴染だ。しかも魔王だぞ。元勇者として、ここでコイツに屈する訳にはいかないんだ。 「エ、エイリ……!」  ガチャ。  俺が絞り出すように声を出すと、玄関の方から物音が聞こえてきた。 「ただいまー。アルト、エイリ、いるのー?」  母さんの声がして、エイリは残念そうに俺から離れた。腕の拘束も解けて、俺はテーブルから滑り落ちるようにズルズルとその場に座り込んでしまった。  ヤバい、腰抜けた。 「大丈夫? 兄さん」 「……てめぇ」 「ふふっ。残念だったね」  エイリは小さく笑を零して、母さんの元へと向かっていった。  危なかった。流されるかと思った。タイミング良く母さんが帰ってきてくれなかったら、俺は。 「……くそ」  俺はフラフラとしながら、トイレに向かった。  こんな状態で母さんに会えるかよ。

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