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第19話 これはよくある回想による過去編ってやつですね。
なんだ。暗い。それと、周りがうるさい気がする。
あれ、俺、何していたんだっけ。何か、とんでもないことがあったような気がしたんだけど。
「…………」
何だよ。誰かが、呼んでる?
さっきから肩を誰かに揺すられてる。
「……せ、白瀬!」
「……ぁ?」
名前を呼ばれ、俺は目を覚ました。
ここ、どこだっけ。そうだ、大学だ。昨日徹夜でゲームしてたから眠くて居眠りしちゃってたんだ。
俺は欠伸をしながら腕を上にあげて体を伸ばした。
「おはよう。もう夕方だけどね」
「……ん、いつから寝てたか覚えてねーや」
「ほんの十分程度だよ。先生に見つからなくて良かったね」
俺は顔を上げて、さっきから俺に話しかけてきてる奴の方へ視線を向けた。
高藤英利。俺の幼馴染だ。物腰が柔らかく、優しい奴。ただ人見知りをするせいで俺以外の友達はあまりいない。まぁそうなるのも無理はないかもな。コイツの親が親だったし。
「んじゃ、帰るか」
「うん」
「ああ、そうだ。母さんがお前を夕食に誘えって言ってたんだけど、来るか?」
「いいの?」
「おう。今日は鍋にするから人数多い方が良いでしょって。お前が最近顔出さないから寂しいんだとよ」
「ふふ。それじゃあ、お言葉に甘えようかな」
「なんか実の息子よりお前の方を可愛がってる気がするんだけど」
「夕食の手伝いとか後片付けを手伝わないからじゃない? 前に行ったときも食べ終わった食器をちゃんと下げてくれないって言ってたし」
「母さん、お前にそんなこと話してるの?」
俺の親と仲良くするのは全然いいんだけど、息子の愚痴を友達に言うのはやめてほしいな。
「そうだ。帰りにコンビニ寄っていい?」
「いいよ。今日、月曜日だもんね」
俺らはいつも通り他愛ない話をしながら、近所のコンビニへと向かった。
昔から高遠は口数が多い方ではないけど、人の話をしっかり聞いてくれる。相槌ばかりでもなくて、ちゃんと受け答えもちゃんとしてる。だから話しやすいんだよな。まぁ、付き合いが長いってのもあるんだろうけど。
俺らはコンビニに着き、今日発売の雑誌を手に取ってから適当に店内をうろついた。
ジュースとお菓子、あと深夜こっそり食べる用のカップ麺。
「おーい、高藤ー」
雑誌コーナーで雑誌を見てる高藤のところに歩み寄りながら、俺は外から差し込んできた光に目を細めた。
コンビニの前の駐車場に車が駐車してるのか。特に気にしてなかった。だけど、一歩一歩前に進むたびに違和感を覚えた。
眩しすぎる。
光が、ドンドン近くなってる。
「高藤! 逃げろ!」
「え?」
車が突っ込んでくる。そう理解した瞬間、俺は高藤の元に走った。
ぶつかる。間に合わない。
ああ、死ぬんだ。高藤を守るように抱きしめると、目の前が真っ白な光に包まれた。
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