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第3話

1年の頃はそんなにアルバイトを入れていたわけでもなかったのに、今はサークルに来れなくなるくらいアルバイトを入れている親友。 金銭的なことに口出しはできないものの、親友の体調を案じて飲みに行かないかと連絡した。 どちらかと言えば裕福な家で育ち仕送りも充分すぎるほど貰っている俺がアドバイスできることなんてないかもしれないが、少しでも気休めになればと思う。 せっかくの休みに出てきてもらうので飲み代は俺が出すつもりだが、おそらく義理堅い親友は固辞するだろう。 そう思い、安くて大学生御用達の居酒屋で、彼が少しでも落ち着けるように個室を選んだ。 久々に会った親友は少し疲れているように見えたが、相変わらず一緒にいて居心地がよかった。 だらだらと話ながらアルコールを入れていたが、いつになく親友のお酒のペースが早いような気がする。 ただでさえ疲れているのに飲み過ぎは良くないと制するも、嬉しそうに飲んでいる親友の姿に強く制することはできなかった。 案の定完全に酔っ払ってしまった親友に苦笑しながら話していると、どの話の流れだったか、親友が俺のことを好きだと告白した。 酔っ払いの冗談かと思ったが、冗談だと笑いとばすには真剣な面持ちだった。 そんな親友に、俺は正直裏切られたと思った。 俺たちは親友ではなかったのか。 親友もまた、他の人と一緒で俺の容姿に惚れたとか言うのか。 そんな気持ちで親友を見れば、虚ろだった親友の顔は徐々に蒼白になり「ごめん」と言ってお金を置いて居酒屋を出ていってしまった。 もう今までの関係には戻れないと悟った俺は、酔っぱらっていたとはいえ今の関係をぶち壊すようなことを言った親友を恨めしい気持ちになった。 それでも、俺のことを好きだと言った親友に対して気持ち悪いだとか思わないのは親友のことが大切だからだと思うし、願わくは元の関係に戻りたいからだと思う。 それほどに、親友の隣は心地よかった。 無二の存在だった。

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