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第5話

親友が辞めてしまったサークルは、俺にとってとても味気ないものになってしまった。 半ば意地のようにサークルには行っているが、楽しいとも思えないし、後輩は話しかけてくるものの親友とのことを未だに引きずって素っ気ない態度をとってしまう。 後輩が悪いわけではないことはわかっているけれど、後輩と一緒にいることも少なくなった。 サークル長が聞けばまた呆れられるかもしれないが、もっと早くに親友と話しておけばよかったと、後悔の念が押し寄せる。 あの日の親友の告白に、今までの俺たちの関係を壊されてしまったと裏切られたように感じてしまったけれど、本当はあの日追いかけて話しておけば親友はサークルを辞めなかったのではないか? もしあの日のことは関係なく金銭的な理由で辞めざるを得なかったのであれば、辞めるのを止めれなかったとしても、なにか力になるようなことができたのではないか? 告白を受け入れることはできなかったとしても親友として改めて関係を続けるチャンスはあったのに、それができなかった自分が歯がゆく思えた。 このままでは、本当に親友と自然消滅的に会えなくなるような気がして、サークル終わりに彼に会いにアパートへと向かった。 親友は大学からは少し離れた学生アパートに住んでいる。 歩いてだと30分ほどかかるため、どちらかのアパートに行くとなるとほとんど俺のアパートに行くことがほとんどで、親友のアパートに行くことは数度しかなく場所も曖昧だ。 近くまで来たところでそのことに気付き、それほどに焦っていた自分に苦笑する。 親友に連絡を取ろうとスマホを取り出そうとすると、親友の後ろ姿が見えた。 タイミングがよかったと声をかけるために追いかけていくと、親友以外に人影がみえた。 後ろ姿だけだが、金髪のいかにも軽薄そうな男だった。 親友にはおおよそ似つかわしくない男だったが、親友も金髪の男も至極楽しそうに歩いていた。 金髪の男はふざけたように親友の肩を抱きながら、親友のアパートへと入って行ってしまった。 そんな様子の二人に声をかけることができず、その場に立ち尽くしてしまった。 我にかえり、明日会えないかとLINEを送った。 親友のことだ。 今近くにいるから今から会いたいといえば出てきてくれることはわかっていたが、どうしても先ほどの光景が目に焼きつき、できなかった。 すぐに返事のLINEがくるものと思っていたが、夜遅くになっても既読すらつくことがなかった。 返事が届いたのは翌日の早朝のことだった。

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