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第6話
明け方に届いた親友からの返事は、返信が遅くなったことへの謝罪と今日の夜は大丈夫との返事だった。
久しぶりのLINEだったが、親友は相変わらず丁寧な返信だった。
アパートの住所と部屋番号を確認し、サークル終わりに向かうと伝え、LINEを閉じた。
いつになく遅かった親友の返信と昨日の男の存在がどうしても気になってしまったけれど、親友にも俺が知らないコミュニティがあって当然だ。
そう自分に言い聞かせる。
約束したばかりの親友との予定が、待ち遠しくもあり憂鬱にも感じた。
…
サークルが終わり、親友との予定のために帰ろうとすると同学年の一人が来年のサークル長について話し合おうと召集をかけた。
といっても、遠い来年の話を本当に話し合うわけではなく、同学年の飲み会を開くための常套句だ。
今までも何回もあったが、話し合いなんて全く進んでいない。
予定があれば当然参加しなくても良いような飲み会だったので断ってもよかったけれど、なんとなく親友のアパートに行くのを先伸ばしにしたくて参加することにした。
親友には、サークルが長引いて遅くなりそうだとLINEを送った。
すると、すぐに親友から了解との返事があった。
そのことにひどく安心した。
飲み会に行くと、いつもなら話しかけてこないサークル仲間が話しかけてきた。
話題は後輩のことが中心だった。
後輩がどれだけ良い子なのかを力説してくるサークル仲間。
俺も鈍感ではないので彼らが俺達が恋人となるようにけしかけてくれているのは分かっていたが、今はそんな気持ちになれない。
話し半分にきいていると、話の流れで仲間のうちの一人がそういえば親友をサークルで見ないなあと言い始めた。
俺は親友が辞めたことを伝えると、親友のバイト先の居酒屋をしょっちゅう利用している仲間が、そういえば昼も夜も結構な頻度で働いているし、大変そうだなあと言ったが、すぐに別の話題になってしまった。
経済的に厳しいのかもしれないとは思っていたが、昼も夜も働いているということはほとんど社会人並みに働いているということで、自分の思っていた以上に大変そうだ。
そんなタイミングで、昨日の金髪の男のことが思い出された。
親友には似つかわしくないけれど、彼は親友の友達だろうと思っていた。
だけどもしかしたら、、、と考えたくない思いがよぎる。
俺に告白してきた親友はおそらくゲイだろう。
金髪の男はあの時、親友の肩を抱いてアパートに入っていった。
珍しく朝方まで返事のなかったLINE。
冷静に考えればそんな筈ないのに、酔った俺の頭では都合よくそれらの状況が結び付いた。
親友はお金のために、あの男に抱かれているのではないだろうか。
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