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第7話
それから一週間後の日曜日。
今度こそ俺は有季と楽しい一日を過ごすべく、期待を寄せていた。
俺の体調も万全だ。
むしろ、俺は有季に楽しんでもらいたいと思っていた。
姉に言われて思った。もうすっかり有季は俺のカノジョ――もとい、俺の恋人なのだ。
付き合うとなれば、恋人に楽しんでもらいたいと思うのは当然の願いだと俺は思う。
有玄を姉に預けた後で、俺は有季を迎えに行く。もううちの場所は知っているが、今日は料理をふるまってくれるというし、材料の荷物持ちもしてあげようと思ったのだ。
先日と同じところまで有季を迎えに行き、再び落ち合った。
今日も有季は可愛い。黒のTシャツに、チノパンを履いている。
俺を見てニコッと笑った。
「持つよ」
俺は有季の手の中のエコバッグを持つ。ずっしりと詰まった中身は、きっと俺の家に何があるか分からないから色々と買って来てくれたんだろう。
「重いね。二人分なのに……」
「あ、それもそうなんですけど……」
有季ははにかんで笑う。料理は好きだからなのか、先日より生き生きしているように感じる。
その表情を見て、俺は今日こそ有季との距離を縮めたいと、早くキスをしたいなと思うわけだ。
「有季……」
「ふふ」
初めは路上でキスをしてくれた有季なのに、今では全く焦らしてくれるぜ。
まあ、あの時は夜だったんだけどさ……。
有季は逸 る俺を見て笑う。
「とりあえず、部屋に行きましょ。ご飯の支度も時間はかけないつもりなんですけど……」
そう言って、俺のうちへと向かった。今日はまるで有季が俺をリードするようだ。
「えへへ……楽しみです」
それは俺とのエッチを楽しみにしてくれていると思っていいのだろうか。
そう思うと、俺の足も速まる。
今日こそは絶対絶対に、夢のような時間を提供してあげたい。
そう思って部屋に入ると同時のころ、俺の電話が鳴ったのだ。
姉からだ。
俺は嫌な予感がして、咄嗟に着信を取る。
電話の向こうの姉の声も暗かった。
「……あのねー、有玄がどうやら、熱があるみたいなの……。
それでね、パパ、パパって、泣いてるのよ……」
俺に選択肢はない。
同時に、俺を不思議そうに見ている有季に、何て言ったらよいのか俺は分からないのだ。
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