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第14話

 俺はそっと有季のジーパンの留め金に手をかけた。  有季の下着をきれいにしてあげるのとそこから先に進むための両方である。   「あ……やだ」  有季は抵抗した。 「は……恥ずかしい」  どうやら俺に汚した下半身を見られるのが恥ずかしいかららしい。  とうとう待ちに待った行為をしようというのに(かす)かに戸惑いがあるようだ。 「大丈夫だよ」 「ティ、ティッシュ取ってください」  俺は本当に平気なのだが、有季は譲らない。  ここまできたら任せて欲しいとも思うのだが……俺は有季のプライドを(おもんばか)り、素直にティッシュを取った。  有季は男の子なのである。  しかも初めてだ。  ティッシュを渡すと有季は自分でジーパンを脱ぎ、下着をそっと降ろした。  有季が火照った顔で自分の下着を下ろして処理をしている様は、自分でしている時を彷彿とさせてとてもそそられるものがあるのだが……。 「あ……あまり見ないでください」  有季はどうやら少し緊張している。一度出した後で身体の火照りが冷めかけ、表情も少しだけ強張っている。  しかし、俺ももうあまり待てない。  俺はベッドの上で彼をそっと背面に向けた。 「大丈夫だよ」 「玄さん……」 「俺は有季に入れたい」  後ろ向きの耳元でそっと有季に(ささや)くと、有季はぞくぞくと身を反らしたようだった。  ここは押しどころであることを俺は瞬時に判断した。俺は一気に有季の下半身に手をかけ、ローションを塗る。 「あ、玄さん……!」  びくびくと震える有季の前部分と、まだ誰にも触れられたことのない背面を、俺は指で愛撫した。  ローションは塗ったが、有季の溢れる(つゆ)と俺の体液でさえも混ざり合う。  俺は興奮する頭で思う。セックスは久しぶりだ。本当に久しぶりだ。それでも、俺は相手が誰でもいいわけじゃないんだ。有季がいいのだ。何も解っていない俺にとくとくと()き、こんな俺に一途で、俺を恋愛できない病から救い出してくれた有季が――。    しかも可愛くてエロい。……結局そこに行き着くのは何だかイヤだが。本当のことだ、ここまで来て嘘は吐けない。  コンドームを装着した俺の中はもう入れてもいないのにドロドロだ。目の前では、初めての行為に戸惑いながらも悶える有季の姿が。背面なのがまた逆にいい。綺麗なカーブを描く背中がまたなんて綺麗なことか。 「うぁ……っ玄さん……も、もう僕っ」  俺が後ろから固くなりきったものを我慢できずに擦り付けながら、俺の欲望のままに有季の先っぽや穴をぐちゅぐちゅと揉みまくっていると、有季も限界なのか、ベッドにしなだるように悲鳴をあげた。  俺ももう限界だ。俺は有季の耳元でもう一度囁く。 「俺は有季じゃなくちゃ、ダメなんだ。有季に入れたい」 「玄さん……」 「有季の初めて俺にちょうだい」    どう、ダメか? と思いながら俺が切実な思いを口にすると、有季は俺を振り返ってこくりと頷いてくれた。

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