5 / 7
第5話
それから俺と夕焼けくんは何事もなく、秋葉原を堪能して最終日の夜になった。
夕飯のラーメンを食べているときに、夕焼けくんのスマホが鳴った。
「夕焼けくん、スマホにラインが来てるんじゃない」
「SNSのDMですね。返信してもいいですか」
「いいよ、遠慮せずどうぞ」
夕焼けくんは僕に見えないように角度を変えて返信をしていた。
そのスマホの画面が後ろのガラスに反射して見えた。
見たらいけないと思いつつも、俺はそのガラス越しに画面を見た。
『好きな人と進展あった?』
『数日間一緒に過ごしたけど何にも無い。僕は相手にはならないみたい』
『まぁ、フラレてドール仲間としても一緒に居られないよりマシかな』
『そうだね。良いビジネスモホテル教えてもらったのにごめん』
そんな内容のやり取りだった。
「すみません、もう終わりました」
「そ、そう……」
「ラーメン伸びちゃいますから早く食べましょう」
やっぱり夕焼けくんは俺とそういうつもりだったみたいだった。
夕焼けくんは何でもないみたいにラーメンを啜っていた。
そしてその日の夜も、俺と夕焼けくんの間に何もなかった。
ともだちにシェアしよう!