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第3話

家の中に入り一通り見回したが、家具の配置等で困るようなところはなく、僕はスケッチブックとパステルを持って外に出た。 着いて早々に、僕はこの景色を描いてみたくなった。 僕が住んでいた東京は上野、人がゴミゴミしていて、こんな景色には中々見ることがなかったから。 そういえば、この家の裏にある椎の木はとても立派だった。 僕は家から出て、ドアの鍵を閉め、裏にある椎の木に近付いた。 「やはり凄い立派な椎の木だな……」 小さい頃に何回か年の離れた兄さんに連れられて遠出をしたことがあったが、こんなにも大きな椎の木を間近で初めて見て、僕は最初のデッサンの相手をこの椎の木に決めた。 「描くには相手を知らなきゃな」 僕は何気なく椎の木の根元を触った。 ここに何年居続けているのか分からないが、触れるととても大きな生命力を感じた。 大きな椎の木な反対側を見たら、そこに一人の男の子が居眠りをしていた。 「この子は……何処の子だろう」 しかし、この子は少し異様な雰囲気な姿をしていた。 泥にまみれた服は乱れて、とても居眠りとは言えないだろう。 もしかして物取りにでも襲われたのかもしれない!? 僕は焦って男の子のを揺すった。 「おいっ……キミ!!大丈夫かっ?!」 身体を揺すったときに首筋にから見えた、……これはキスマークの跡だ。 男の服を着ていたのですっかり男の子だと勘違いしていたが、この子は女の子なのだろう……そうよく見るとまつげも長いし身体の線も細い、ラインも丸みを帯びていた。 ……このまま起こしては大変なことになる!! 僕は家に戻り毛布を持ち女の子に掛けると、再び身体を揺すった。 「キミ……キミ!!大丈夫か?!」 するとか細い声でが、綺麗な声が彼女から聞こえた。 「……うぅ。……怠いって、もう少し寝かせてぇ」 ……生きてた、良かった。 僕は医者の次男でも医学の知識なんてまるでない画家の玉子。 しかしこんな子を木の下に放置しておくわけにはいかない。 毛布に繰るんだまま、抱き上げて家の中に運びソファーに寝かせた。 とりあえず僕はこの彼女が起きるまで、デッサンの相手をしてもらうことにした。

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