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小話(ハロウィン編) クッキー・センセーション ③

「もう……なんなんだよ……」 「どうしたの? 晃良くん」  リビングのソファに並んで座っていた涼が尋ねてきた。 「いや……相手の意図が分かんなくて気味悪いんだけど」 「なにが?」 「これ……」 「メール? ……なにこれ。同じ件名で凄えメール来てんじゃん。っていうか、黒埼くんだろ? これ」 「そう。送られ続けてくんだけど」  そう。あの最初のメールを受け取ってから。約1時間ごとに同じようなメールが晃良の元に送り続けられているのだった。  全て『Trick or Treat?』と書かれているだけ。写真が2つあり、『Treat』を選べば黒埼の男前(と本人が思っている)の顔。『Trick』を選べば有栖の怖い(と本人が思っている)の顔。そして全く面白くない。そんなメールが何の説明もなく送られ続けているので、さすがに晃良も気味が悪くなってきた。  午後になって、仕事が早く終わった涼が帰宅し、一緒にテレビを観てのんびりと寛いでいたのだが。途切れることなくメールが送られてきて、1人では抱えきれなくなってきた晃良は涼にもメールを見せたのだ。  涼は暫く送られてきていた写真を順番にじっと見ていたが、ふと顔を上げて口を開いた。 「晃良くん、これ、やばい」 「は?? なにが??」 「最初の写真からよく見て。背景」 「背景……?」  そう言われて、最初のメールから順に2人の写っている写真の背景を確認していくと。 「これ……」  最初の写真の後ろには人が何人か写り込んでおり、せわしなく歩いているような感じだった。よく見るとみなスーツケースを持っている。ということは、ここはおそらく空港なのだろう。でも背景の人々が白人、もしくは黒人の人たちばかりなので、どうも日本ではなさそうだ。  次の写真。これも空港のようだ。でも、後ろに搭乗口らしきものが見える。行き先を記す掲示板が後方にあるが、遠すぎて字までは見えない。  その次の写真。それはどう見ても飛行機の中だった。その同じ飛行機内の背景写真が何枚か続いた後。  また、空港?  どうやら飛行機を降りて、どこかの空港に到着したらしい。しかし、今度の空港には何らや見覚えがある。それが何なのか自覚した途端、晃良は目を見開いて涼を見た。涼は同情とも取れる苦笑いでこちらを見返した。  まさか。  そこで、また新たなメールの受信を知らせる音が鳴った。晃良は無言でそのメールを開ける。黒埼の男前の顔は見る気も起きなかった。背景だけを確認する。車の中のようだった。車外の風景には日本語で書かれた看板が写っている。つまり。 「……今、いるわけだ、日本に」 「そうじゃね? そんで、こっちに向かってんだろうね」  リビングに暫く沈黙が流れた。あの2人はこんな手のかかることをしてまで、また晃良に会いに来たらしい。

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