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小話(ハロウィン編) クッキー・センセーション ⑤

 来やがった……。  尚人がニヤニヤした顔で晃良を見ながら応対に出た。 「はい」 『トリック・オア・トリート!!』  音が割れるぐらいのデカい声がモニターから聞こえてきた。尚人が声を出さずに笑って、手招きしている。涼と2人でモニターを覗くと、明らかに黒埼と有栖と思える2人組が、定番の有名ホラー映画のキャラマスクをかぶって、オモチャのナイフを持って立っていた。晃良はベタ過ぎるその姿に思わずモニターを切った。 「あれ? 晃良くん、入れてあげないの?」 「体が思わず拒否した」  そんな会話をしている内にまたピンポーン、とインターホンが鳴らされた。モニターが再び映し出される。 『トリック・オア・トリート!!』  さっきと同じ絵図でまた2人が楽しそうに叫んだ。晃良はその絵面に耐えられず再びモニターを切る。 「ちょっ、いいの?? 晃良くん」 「いや、おもしろなさ過ぎて、耐えられねえし」 「だけど、晃良くん、そんなことすると相手が相手だし大変じゃないの?」  ピンポーン、と再び音がしてモニターがつく。今度は、格好はそのままだが言葉を発さず静かに佇んだ2人が映し出された。 『アキちゃん……。開けないと、本当にイタズラするよ』  低い声で黒埼が呟くように言った。晃良の背筋がざわわっと音を立てる。  こわっ。  どんな『イタズラ』をされるか分かったもんじゃないので、慌ててロックを解除した。

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