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小話(ハロウィン編) クッキー・センセーション ⑥
「晃良くん、最初からそうしたらよかったのに。怒らせると黒埼くん怖いんだから」
「分かってるけどな、サムいことには俺の中の何かが抵抗すんだよ」
「だけど、怖いよりサムい方がマシじゃん」
「そうだけどぉ……」
とブツブツと晃良が言っている内に、今度は玄関のチャイムが鳴らされた。尚人がさっさと応対に向かう。久しぶりだね、とかなんとか言っている声が聞こえてきた。
「こんにちは。あ、もうこんばんはに近い?」
「アキちゃんっ。なんですぐに開けねえの!!」
リビングに着くなり、黒埼と有栖が好き勝手に話し出した。晃良はとりあえず黒埼の問いに答える。
「いや、だって、お前のその格好。ベタ過ぎて引いちゃって」
「はあ?? 怖いって言ったらこれだろ! 全米を恐怖に落とし入れた最高傑作ホラーだし!!」
「それいつの話だよ。何年前だと思ってんの?」
「だって俺、この前全部観たばっかだし」
「……前から思ってたけど、黒埼って流行に凄え遅れとってるよな」
「んなことない」
「いや、あるから」
「まあまあ、ガッちゃんもアッキーも会ってすぐに喧嘩しないでさぁ。仲良くしようよ。今日はパーティーしようと思って来たんだし」
「パーティー?」
「あ、そういや、今日ハロウィンだもんね。そしたらあの写真のやつ、やっぱりあの怖い話にかけたの?」
「そう。メリーさんのやつ」
「面白くも、怖くもないけどな」
「涼、よく言った」
「なにそれ。せっかく来たのに。酷い扱われようなんだけど」
「勝手に来たんだろっ」
「とりあえず、せっかくだしなんか作るね」
尚人が会話に収拾をつけるかのように言うと、キッチンへと消えていった。手伝うよ~、とマスクを脱ぎながらそれに有栖が続いた。そしたら俺も酒でも買ってくるわ、と涼も買い出しに出かけていった。
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