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Out of control ⑫

 不機嫌極まりない顔でしばらく黒埼を無視しながら併設しているショッピングセンターを歩いていたが、腹が立ち過ぎて精神力を使い過ぎたせいか、今度は腹が減ってきた。朝からほとんど何も食べてない。このまま最悪な雰囲気のままデートを終わらすのも大人気がない気がしてきた。いや、それくらいの仕打ちは受けている気はするけども。 「おい。腹減った。飯にするぞ」 「うん。もうとっくに昼、過ぎてるしね」  そう言われて時計を確認するとすでに午後2時近かった。  きっと黒埼だって腹が減っていただろうに。何にも言わずに不機嫌な晃良に付き合ってくれていたようだった。そこで少し罪悪感が生まれる。  結局、そのショッピングセンターにあるフードコートで軽く昼食を済ませた。その後、せっかくの良い天気だったので、映画は止めて適当にドライブでもしようかということになった。  駐車場の近くまで来てトイレに行きたくなったので、黒埼に先に車まで行って待ってもらうように伝えた。  黒埼と別れて振り返った瞬間、通行人とぶつかりそうになって避ける。2人組の男たちだった。  ん?  一瞬だけ。何か違和感みたいなものがあった。何だろう。この平和なショッピングセンターに似つかわしくない暗めのスーツを着た、人相の悪い男たちだった。職業柄、不審者の匂いを嗅ぎ取るのは得意だった。  しかし、ここを出て駐車場へ向かうようだし、顔は強面だったが殺気立ったものも感じられなかった。きっとただの人相の悪い人たちだろうと思い直してそのまま足を進めた。  トイレを目指す途中。他は人があまりいない中、1店だけそこそこ賑わっている店があった。なんだろうと覗いてみる。ああ、そういうことか。納得してそのまま店を出ていこうとしたが。  ふとそこで思い留まる。これを実行するのはかなり勇気が要ることだったが。その場に立ち止まって少しの間迷っていたが、晃良は意を決して店の中へと再び引き返した。

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