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No matter what ㉝ ★

「ん……」 久しぶりだったせいか、少し痛みを感じた。深く入ったのを確認してから、腰を動かし始める。 「あ……はっ……あっ……」 不思議な感覚だった。今まで、一応男との経験はあると言えるぐらいにはあった。まあまあな数の男たちと(黒崎が邪魔していたおかげで)関係を結んできた。けれど、こんなにしっくりくるというか、パズルのピースがかちりとはまったようなピッタリとした感覚は味わったことがなかった。晃良が黒崎を見下ろすと、目が合った。 「…………」 黒崎は何も言わなかった。が、晃良と同じことを感じているのは分かった。突然、黒崎が起き上がった。 「おわっ」 繋がったまま、黒崎が無理やり晃良を抱きかかえて反転した。晃良の上に乗った黒崎を見上げる。 「どした……あっ、ちょっ……あっ、あっ、んっ」 反転して間髪入れずに黒崎が腰を打ち付けてきた。黒崎が動く度に痺れるような快感が晃良を襲う。 「はっ……あっ……あっ……」 息が荒くなっていく。段々と意識が混濁していく中で、ふともっと、黒崎と近付きたい。そう思った。 晃良は快感に耐えて瞑っていた目をゆっくりと開けた。両腕を黒崎へと伸ばす。動きを止めずに黒崎が晃良を見た。 「アキちゃん?」 「黒崎……」 黒崎の名前を呼ぶ。黒崎がふっと笑って晃良の両脚をぐっと曲げると、体を前に倒してきた。唇が重なる。黒崎の首に腕を回した。 キスを繰り返しながら、繋がり続ける。いつまでもこうしていたい。そう願うほど、心地のいい時間だった。もちろん、それが叶うことはないと分かってはいるけれど。 晃良の気持ちを読んだように、黒崎がゆっくりと抽送を続けていたが、やがて晃良の耳元で(ささや)いた。 「アキちゃん、限界」 「ん……いいよ」 黒崎の動きが速く、激しくなっていった。それに合わせて晃良の限界も近づいてくる。 「あっ、あっ、あっ、んっ、あっ、ああっ」 あ、イく。 そう思った瞬間に、晃良の自身から欲が飛び出した。一気に快感が押し寄せてくる。 「ん……っ」 その直後、晃良の中に温かいものが広がる感触がした。初めて、黒崎の欲を受け止めた瞬間だった。 とても温かい、幸福感みたいなものが晃良の心にじんわりと広がった。

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